性を売ってダイヤモンド鉱山で生きる少女たち

リベリアは非識字率の高い社会を抱えています。ほとんどの人が生活をより良くするための職業を持っておらず、結果として農作業や細々とした仕事をしてなんとか暮らしています。日々の糧を得るには、こういったことしかできないのです。生活費は高く、多くの人が一日一食で過ごし、空腹のまま寝付くこともあります。金とダイヤモンド鉱業を抱えるリベリアのほとんどの地域では、当たり前の現実です。

こういった貧しい状況の中、一部の少女たちはある打開策を選びます。セックスにお金を払ってくれる男性たちと付き合うということです。時に、ただ金銭を得るために短い期間の性関係を持たされることもあります。

ダイヤモンドや金脈が発見されたニュースが入ると、人々はその地域に移り住んできます。そして少女たちもまた、彼女たちをかまってくれるようなダイヤモンドの若い労働者や鉱夫、ブローカーなどを目当てにして、移り住んできて金銭を得ます。この少女たちの行為は、売春行為であることに間違いありません。しかし、彼女たちにとっては、生きるための選択なのです。

 

私が調査の追跡を行うのにマボン・ジンベクに向かう途中こんなことがありました。

ロファ・ブリッジで、20代前半くらいの少女に会いました。彼女はモンロヴィアから、マボン・ワンガと呼ばれる街のダイヤモンドの炭鉱で働く彼氏を探しに来たと訴えました。

この街はマボン・ジンベクにすぐ続く街です。彼女は11か月以上も彼氏と会えずにいたことで居ても立っても居られずに訪ねてきたといいました。マボン・ジンベクとマボン・ワンガは同じ方角にあるので、私のバイクに乗せました。道すがら、いくつか質問をしてみました。

 

DFPLコーディネーター「君の彼氏は君が訪ねてくることを知っているの?」

少女「ううん、知らない。驚かせたくて。」

DFPLコーディネーター「前にもここに来たことあるの?」

少女「ないけど、彼がマボン・ワンガってところだっていうから。」

DFPLコーディネーター「もし彼を見つけられなかったらどうするの?」

少女「行った先で寝て、次の日帰るよ。」

 

マボン・ジンベクに着いて停まると、彼女はマボン・ワンガを目指しました。

30分後、彼女は戻ってきて、彼氏も見つからなかったし、彼についての情報も何一つ聞けなかったと言いました。そもそも誰も彼のことを知る由もなかったのです。

彼女は私に、家に帰るお金がないから工面してほしいと頼んできました。私は彼女の要求にいささか驚いたものの、彼女に別の目的があることに気づきました。400リベリアドル、米ドルで4ドル程度のお金を彼女に渡し、またいくつか質問してみることにしました。

 

DFPLコーディネーター「仕事は何を?」

少女「何にもしてない。彼氏に頼って暮らしているの。」

DFPLコーディネーター「彼氏に頼るばかりじゃなくて、自分でもちょっとした商売みたいなことをしてみれば?」

少女「私には手に職もないし、自分のために何ができるかすらよくわからないの。ひょっとしたらあなたが言ったみたいにちょっとした商売ができるかもね。」

DFPLコーディネーター「なんで充分な旅費もないのにここまで来たの?」

少女「彼がここで働いているって言っていたから会えると思って、ただ来ることしか考えてなかった。」

少女「今夜私と寝てくれる?」

DFPLコーディネーター「なんで彼がいるのに僕と寝るんだなんて言うんだい?」

少女「大した問題じゃないよ、ただ夜を過ごせたらいいだけ。」

DFPLコーディネーター「そんなことできるわけないよ。結婚指輪を見ればわかるよね、僕には妻がいる。」

 

計画が潰れたその日のうちに、彼女はロファ・ブリッジへ戻っていきました。翌日、家に帰る道中で出会ったロファ・ブリッジのバイク乗りが、少しだけ情報をくれました。彼らが言うには、その女の子はロファ・ブリッジの子だろうということでした。私にモンロビアに住んでいると言ったのとは辻褄があいません。女の子は、私がダイヤモンドか金のブローカーだと察して、関係をもつことで私から金銭を稼ごうとしたのだとも言っていました。そして、ダイヤモンドや金の鉱業地域では、女の子たちにとってこういうことは普通のこととして横行していると付け加えていきました。

 

最後に

女性たちが自らの身体を使って生活費を稼ぐという選択にはプライドはありません。

私は、こういった状況下にいる人々が何かしらのスキルを身につけることが意味のある人生を送る助けになると信じています。私が彼女の一夜の誘いを断った時、彼女は、挫折し、恥じたのです。一方で、この状況は私自身にも恥を与えました。同情から彼女にお金を渡さなければならなかったからです。

このような少女たちが意味のあるスキルを身につけ生活が出来るよう手助けするために、政府や慈善団体は実習場などを設置する必要があります。

 

冒頭写真:DFPスタッフのバイクに乗っていく女の子(DFP撮影)