ウィズアのファーマーフィールドスクール(FFS)

ウィズア村採掘・農業組合 (WECMACOS)は、共通の利益のために協力することを目的として組織された、手掘りダイヤモンド採掘者と農民の組合であり、バポル州のウィズア村にあります。ダイヤモンド・フォー・ピース (DFP)の支援のもと、ウィズア村採掘・農業組合は2019年に設立されました。2019年の設立以来、ウィズア村採掘・農業組合はDFPから技術支援を受けており、責任あるダイヤモンド採掘を促進し、組合員の生活を向上させ、村の環境を改善することを目的としています。

この村で採掘者たちは無作為に穴を掘りダイヤモンドを採掘し、採掘終了後それらを埋め戻さないままにしていました。彼らは、自分たちの行動の悪影響に気づかずに、何十年もこれを続けてきたのです。しかし、DFPは採掘者や村人が森林破壊や土壌劣化などの問題に対する意識を高め、適切な行動を取ることができるように啓発しています。DFPのプログラムを通じて、採掘者たちは、採掘後の土地の埋め戻しが非常に重要であることを学びました。鉱山を埋め戻さず、掘った穴が人工池になると、それはマラリアを媒介する蚊の繁殖地となるだけでなく、人間や動物が落ちておぼれてしまう危険性を高めます。鉱山の埋め戻しとは、その人工池を通常の状態に戻し、農業などの他の活動に再び使用できるようにすることです。採掘者たちは、自分たちの行動が土地を劣化させていて、正しい閉山が重要であると理解はしているようですが、採掘後に土地の埋め戻しを実際に行うことは依然として課題です。

DFPが採掘活動による多くの環境問題に対する採掘者たちの意識を高めてきた結果、ウィズア村採掘・農業組合は、何年も前に放棄したダイヤモンド採掘場の埋め戻しを開始し、その問題に対応し始めました。彼らは、複数の放棄された採掘穴を含む1エーカーの土地の埋め戻し作業に取り組んでおり、2024年度末までに作業を終える予定です。

正しい閉山の利点

ウィズア村の採掘者たちは、ダイヤモンドの採掘が永遠に彼らの主要な生計手段であり続けるわけではないことを認識しています。彼らは、自分たちのダイヤモンドに替わる収入源は農業だと考えています。しかし、彼らは、採掘の結果として劣化した土地ではなく、農業活動に適した土地を使う場合にのみ農業で成功できることを知っています。

採掘後に土地を埋め戻す(正しい閉山をする)ことは大きな課題ですが、ウィズア村採掘・農業組合は、村のすべての採掘者たちが従うべき例として、劣化した土地の1エーカーを埋め戻すことに同意しました。彼らは、1エーカーの土地の埋め戻しが完了した後、組合の長期的な収入向上活動として、修復した土地にオレンジの木を植えます。また、掘った穴を確実に埋め戻して責任ある採掘を実践すると、土地の劣化や事故を防ぐだけでなく、公正な価格で責任ある採掘を評価する国際的な責任ある買い手にダイヤモンドを販売する機会が得られるでしょう。

埋め戻されたダイヤモンド鉱山でのアグロフォレストリー 

農業はこの村の住民にとっても主要な生計手段ですが、彼らの農業のやり方は非常に非効率です。彼らは毎年一生懸命働き続け、さまざまな食用作物を育てていますが、自分たちが食べる分を育てるのがやっとです。そのためDFPでは、地元の採掘者たちや農家向けに生産性向上のためのアグロフォレストリー研修プログラムを実施し、ファーマーフィールドスクール(FFS)を開催しています。このプログラムでは、参加者はオレンジの木を中心とした果樹の栽培技術や、オクラ、唐辛子、ナスなどの野菜の栽培技術を学んでいます。

写真: 参加者に講義を行うアグロフォレストリーの講師
写真:組合が育てているオレンジの苗

このプログラムでは、参加者は果樹や野菜を育てる技術を学んでいます。野菜を育てる技術を身につけることで、参加者は短期間で収入を増やすことができます。一方、長期的な利益のためにオレンジの木を育てることにも重点が置かれています。オレンジの木を育てることは、主に2つのよい理由があります。1)その果実が将来大きな経済的利益をもたらす、2)森林再生。森林再生は、世界が直面している気候変動の状況を緩和するためにも非常に重要です。

写真:アグロフォレストリー活動のために畑の草を刈る参加者

 

写真:講師の指導の下、オレンジの木の植え付け距離を測定する参加者

プログラムには約20人の参加者がいます。研修は実践的な内容です。通常、講義に先立って、各参加者に区画が割り当てられた組合の農場で、実地研修が実施されます。農場は、ウィズア村採掘・農業組合が埋め戻している廃鉱となった手掘りダイヤモンド鉱山の1エーカーの敷地です。研修の一環として、各参加者は割り当てられた畑の世話をしています。参加者がさまざまな作物を植え、プログラムで学習している技術を活かしてそれらの作物がうまく育つようにします。自分の区画で栽培している野菜は各参加者のものですが、オレンジの木はウィズア村採掘・農業組合のものです。

組合の農場での研修活動に加え、講師は参加者の個々の畑を訪問し、研修で得た技術をどのように活かしているかを確認・評価します。2025年2月の研修プログラム終了時に、各参加者の実績と習得した知識を講師が評価し、修了書を授与します。

写真:講師の指導の下、オレンジの植え方を実演する参加者

2024年9月現在、参加者は畑でオレンジの苗木の移植を開始しており、同時に埋め戻し作業も続いています。彼らが埋め戻し作業を完了し、2024年度末までに畑により多くのオレンジの苗木を移植する予定です。そして、組合員は植えた作物の世話を続けます。

ウィズア村採掘・農業組合の組合員の体験談 

ビクトリア

埋め戻しダイヤモンド鉱山のFFSの研修プログラムに参加できてとても嬉しいです。このプログラムは、苗床の作成と野菜の栽培に関する新しい技術を学ぶのに役立っています。今のところ、オクラ、唐辛子、ナスの育て方を学んでいます。今のところ、オクラ、唐辛子、ナスの育て方を学んでいます。私が学んだ重要事項の1つは、作物を植える間隔です。この研修を受ける前は、作物を間隔を空けて植えることの重要性を考えたことはなく、ただ畑に種を蒔いて育てるだけでした。しかし、この研修により、作物の植え付け間隔を空けることで作物がうまく育ち、収量が増えることに気づきました。また、余った野菜の種を次の年に使うために保存する技術も学びました。現在は自分の畑でその技術を使い野菜の生産量を増やしています。

最も重要なことは、私はオレンジの木を育てる方法も学んでいることです。私の畑にはオレンジの木が何本かあります。私の祖母が植えたものです。毎年、オレンジの収穫と販売で収入を得ています。私は収入を増やすためにもっとオレンジの木を育てることを計画しています。ですから、オレンジの木を育てる技術を学ぶことは、私にとって絶好の機会です。

ママ・フィリップ

私にとっては、埋め戻しているダイヤモンド鉱山で行うファーマーフィールドスクール研修への参加はとても良い機会です。私は地元の農家出身で、昔から野菜の栽培に興味を持っていました。この研修を通じて、オレンジの木を育てることにも強い興味を持つようになりました。オレンジは需要が高いだけでなく、自然環境において木が重要な役割を果たしていることも学び、今後オレンジの苗を育てることを考えています。この研修は、種子の保存方法、オレンジや野菜の苗床の準備の仕方を学ぶよい機会になりました。現在、私は小さな畑を持っており、限られた技術でビターボールと唐辛子を育てています。しかし、今は新しい技術を学んでおり、それを応用して野菜の生産量を増やす予定です。

ムサ

ファーマーフィールドスクールの研修に参加できて、私は嬉しいです。だから私は技術をしっかりと学ぶために時間を割いています。私は野菜栽培の技術を学んでいますが、主にオレンジやアボカドなどの果樹の栽培に興味があります。この研修は、作物の栽培における間隔が作物の生産性にとって非常に重要であることを理解するのに役立ちました。講師は、オレンジの木を植えるときに考慮すべき距離は6メートル間隔であると教えてくれました。私はもうすぐ自分の畑で自分のオレンジとアボカドの木を育て始めるつもりです。

 

冒頭写真:組合員がダイヤモンド放棄鉱山の1つで埋め戻し作業を開始した様子。