パンパヤ多目的組合(PAMCOS)、民主的選挙で新役員を選出

 

 

はじめに

パンパヤ多目的組合(PAMCOS)は、2019年に発足した手掘り採掘者と農業従事者の組合です。お互い同じ問題を抱えていることに気づいた彼らは、生活の改善を図るため共通する課題について協力して取り組むことにしました。PAMCOSの拠点はバポル州コンバ地区トンレイ郡のキャンプアルファ村にあります。設立から数年が経っているとはいえ、組合は未だリベリア政府から正式な組合資格を取得していません。これは、2020年に起こった新型コロナウィルス感染症の流行も一因だと言えます。組合は2022年に活動を再開し、正式な組合資格を取得するための支援をダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)に要請しました。組合はDFPの支援を受けながら、正式な組合資格を取得するための必要な条件を満たすべく取り組みを続けています。

リベリア政府から正式な組合資格を取得する重要な条件の一つに、民主的な役員選挙があります。PAMCOSにはこの条件に問題がありました。前の選挙の2年後に次の選挙を行わなければならないとPAMCOSの定款は定めていますが、実施していなかったのです。2019年に初めての選挙を実施後、本来であれば2021年に2回目の選挙を実施すべきでしたが、4年もの間延期されていたのです。もちろんやらないよりは遅れてでもやるに越したことはありません。2025年1月29日、PAMCOSの役員選挙はDFPの協力の下、民主的に執り行われました。

選挙の重要性

6年間、PAMCOSの役員が変わりませんでしたが、これは定款に違反していました。定款は組合を適切に運営するための各役員や組合員の決まりを示しており、遵守すべきものです。6年という期間内に、PAMCOSは本来ならば最低2回は選挙を行い新しい役員を選出すべきでした。そもそもPAMCOSの設立目的は、組合員の持つ共通した課題を共に解決することにあり、そのためには目標達成に向けて組合員の気持ちを奮い立たせる適切な役員を選出しなければいけませんでした。しかし現実には、役員の業績を評価せず、任期を延長するか役員を交替させるかを民主的な方法で決めることもしないまま、同じ役員が居続けました。新型コロナウィルス感染症の流行で組合活動は停滞しましたが、同時に無力な役員が長年居続けたことも停滞の大きな要因であることは明白で、誰もがそう感じていたのでした。定款遵守の大切さや組合活動前進のため役員交替が必要であることを組合員達が気づいたという点において、今回の選挙は重要な役割を果たしたと言えます。

よくあることですが、グループのリーダーはその地位をめぐる競争がないまま長くとどまり続けると、自己満足に陥って自身を不可欠な存在だと考えてしまいがちです。自分なしでは何事もうまくいかないという気持ちに陥りやすいのです。そうなると、グループの発展が損なわれます。しかし、逆に良いリーダーが長く務めることがグループのためになることもあります。

新役員選出後の集合写真

選挙の詳細と結果

PAMCOSの組合員は投票所に赴き、6年ぶりの民主的選挙で新たな役員を選出しました。リベリアの全組合及び組合活動全般を監督する政府機関である組合開発(CDA)の直接の監督の下、またDFPの協力と監視の下、選挙は民主的かつ平和裏に執り行われ、PAMCOSの目標達成に向けて組織を先導する新たな役員が誕生しました。

選挙を成功させるべく、3人の組合員が選挙運営にあたる選挙管理委員会を組織しました。選挙管理委員会は、民主主義にのっとり以下の役職が空席であることを公表し、候補者が応募できるようにしました。

  1. 組合長
  2. 共同組合長
  3. 書記長
  4. 会計書記
  5. 出納係

組合員資格を有する者なら平等に誰でもどの役職にも立候補できるよう、選挙管理委員会は役職すべてに対して選挙への立候補を無料としました。しかし、上記5つの役職に対し、名乗りを挙げたのは各々一人ずつにとどまりました。投票権を持つ組合員は21人いたのですが、結局どの候補者にも競争相手がいなかったため、彼らは全会一致で承認されました。選挙管理委員会は、それを民主主義に準じた選挙で選出された役員であると宣言し、CDAとDFPもこの決定を支持しました。選出された役員は次のとおりです。

  1. ジョン:組合長
  2. イドリサ:共同組合長
  3. ロバート:書記長
  4. オーガスティン:会計書記
  5. ファニア:出納係

新役員の声

ジョン新組合長

私はこの組合の創設メンバーの一員であり、共同組合長を6年間務めてきました。共同組合長時代、多くの重要な活動プログラムで私がPAMCOSの代表を務めてきました。ですから組合長職に選出されて光栄です。PAMCOS組合長としての私の統率力を信頼してくれた組合員の皆さんに感謝します。そしてその信頼を裏切らないことを宣言します。

ジョン新組合長

イドリサ新共同組合長

私はこの組合の創設メンバーの一人です。今まで組合の発展に貢献しようと努力を重ねてきました。正直なところ、私は別の組合員に共同組合長になってほしかったので、立候補するつもりはありませんでした。共同組合長として組合を引っ張る力がその人にはあると思ったからです。残念ですが彼は立候補を辞退しましたので、私が立候補するしかありませんでした。私は読み書きができませんが、組合の業務運営にあたり、組合長を補佐する知恵を持っていると信じています。

全会一致でこの職に承認されたことは、組合員が私に信頼を寄せている証だと感じています。従って私は組合が発展するために全力をつくすことを約束します。

イドリサ新共同組合長

ロバート新書記長

私はダイヤモンド手掘り採掘者です。この組合の創設メンバーの一人で、2019年の設立以来中心メンバーとして活動してきました。組合で協力し合うことこそ、似たような問題を抱えている村人が課題を解決し、持続的な方策をみつけるための最善の方法だと私は信じています。

私が書記長の座に立候補したのは、正しく記録を残すことで組合の発展に貢献する力が自分にはあると思ったからです。私は重要な意思決定の際に参照できるようなきちんとした議事録を作成し保管していくつもりです。

業務遂行中のロバート新書記長

オーガスティン新会計書記

私は農民です。2025年1月に加入したばかりの新組合員で、組合の生産性向上のため皆と協力しています。私は透明性と説明責任が重要だと思っているので、会計書記に立候補しました。どんな団体にとっても、存続のためには帳簿の管理がとても重要であることを、私は長年にわたり見てきました。帳簿を正しくつける能力が私にはあります。ですから、組合員や村に安心をもたらすような望ましい目標をPAMCOSが達成するために、私は必要な貢献ができると思います。

この職に私が就くことに組合員が全面的に賛成してくれ、全会一致で会計書記に選ばれたことを嬉しく思っています。私は全力でこの任務を全うすることを約束します。

オーガスティン新会計書記

ファニア新出納係

私はPAMCOS創設メンバーの一人です。この村のために何かいいことが起こるのを見届けたくて組合に加入しました。私は採掘者ですが、小さな事業も経営しています。私が出納係に立候補したのは、責任を持って透明性の高い方法で、組合の金銭管理を行いたかったからです。会計の不正行為は団体を崩壊させるよくある問題の一つだからです。

全会一致で出納係に選ばれたということは、私が組合のお金を誠実に扱うことを組合員が信じてくれたわけですから、とてもうれしく思います。私はこの村の出納係として10年間、また貯蓄クラブの出納係としても14年以上務めてきましたが、一度も不正行為を行ったことはありません。

この係に選出されて幸せです。組合の資金が安全に管理されていると組合員に信頼してもらえるよう、説明責任と透明性を持って、資金取り扱い任務を遂行します。

ファニア新出納係

新役員を中心にPAMCOSが活動を進捗させていくことを、DFPは期待しています。

 

冒頭写真:選出された新役員(組合長を除く)、承認後の集合写真(2025年1月ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)