NPOの組織基盤強化は、生活習慣病!? パナソニックNPOサポートファンド成果報告会に参加

三寒四温を繰り返し、春の訪れが待ち遠しい2020年2月18日、お台場にあるパナソニックセンター東京で開催されたPanasonic NPOサポートファンド成果報告会に、ダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)代表理事の村上と相田が参加しました。

2019年に助成を受けたアフリカ、環境、子ども分野の団体が活動や成果を報告しました。DFPは助成10団体のトップバッターで発表。代表村上から「欧米における広報基盤強化」として取り組んだ、英国の行動変容専門家とのコンサルテーションを経て開発した啓発ツールの紹介や欧米でのカンファレンス登壇や支援者との交流について報告しました。

DFPの発表後、「団体の組織基盤強化」を行った環境分野及び子ども分野の助成団体の報告が続きました。設立から数十年経ち、団体創設者からの世代交代の難しさ、団体ビジョンの再定義の必要性、属人化からの脱却の苦しみなどが語られました。

DFPの強みを再認識

各団体の発表後は、助成選考委員の方々から講評をいただいきました。DFPに対しては、以下のコメントをいただきました。「問題・課題の解決のみならず、新しい価値の創造がNPO/NGOに求められている今、DFPは新しい価値を生み出している。創設5年目という新しい団体ながら、国際連合経済社会理事会(ECOSOC)特殊協議資格取得を取得し、政策提言ができる組織としての基盤を築いている。」、「DFPは、構造化するのが上手い団体、民間企業では試作品を「テスト」することは当然のことだが、財源の厳しいNPO/NGOにおいても、助成金を賢く運用し、きちんと「テスト」し啓発ツールを作成していることは評価できる。NPO/NGOはどんどん『まねぶ(マネる+学ぶ)』をするといい」、「日本でアフリカを支援するNPO/NGOの中でも、DFPは『生産〜消費』のサプライチェーンで尽力し、欧米のマーケットも対象にしているユニークな団体。助成金使途のしばりや働き方改革が進められる中で、多くのNPO/NGOは事業実施などの目に見える『コアな業務』に専念し、政策提言などの『マージン業務』へ費やす時間がどんどん削られてきている。より国際的視野に立って政策提言をすることが国際協力NPO/NGOは重要になってくる。」

その他、会の全体を通して、「組織の基盤強化は、生活習慣病のようなもので、特効薬はない。コツコツと地道に継続していくことが重要。」「対象地域で事業を実施し、その場を改善していくのみならず、現場で見たこと、聴いたこと、感じたことを、社会に伝える政策提言という役割をNPO/NGOが果たさなければならない。」とのコメントをいただきました。政策提言の重要性について、再認識する機会になりました。

助成金獲得のヒント!?

Q&Aのセッションでは、参加者から「選考の際にどのような点が考慮され、どのような点が成果として評価されるのか?」という質問に対し、選考委員からは、「組織の成長のみを目標とするのではなく、あるべき社会を見据え、どういう社会を創っていくかというビジョンをしっかりと持っている」、「活動の対象者が単なる利用者になっておらず、当事者として参画できる仕組みがある」、「活動に関わる人たち自身も幸せになっている組織」との回答がありました。選考委員の方々は多様なバックグラウンドを持ち、経験に培われた独自の視点を活かし選考にあたっていることがわかりました。今後の助成金応募の際のヒントにしたいと思います。

今回の報告会に参加することで、他の団体の活動から学んだり、選考委員の方々から講評をいただくなど第三者からの視点を得ることで、日ごろ私たちが「ふつう」と思って実施していた活動が、とてもユニークであったり、団体の強みであることに気づくことができました。

2020年の助成事業

3年の助成期間の最終年である今年、DFPはこれまで2年間かけて実施したオンライン、オフラインの施策に相乗効果が生まれるような活動やキャンペーン、欧米における広報啓発活動の評価設計を行います。自分達の強みをさらに伸ばせるよう、努力していきたいと思います。

Panasonic
パナソニック東京センターにある展示スペース

 

冒頭写真:開発した啓発ツールを紹介する村上代表理事