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〈石をめぐるストーリー vol.1〉10年越しでマラウイ産天然石を日本に紹介

チャリティ・ジュエリーの天然石は、日本から1万キロ以上離れたアフリカ南東部のマラウイ共和国で産出されたものです。かつて国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員としてマラウイの鉱山組合支援に携わっていたダイヤモンド・フォー・ピース・リベリア現地法人理事の鈴木麻衣さんにマラウイの天然石をめぐる背景について聞きました。

 

―マラウイにいつ頃滞在し、どんな活動をしていましたか

2010年9月から2年間、青年海外協力隊員の村落開発普及員としてマラウイ共和国北部にあるムジンバ県に滞在していました。同県農業事務所のアグリビジネス課に配属され、農民の生計向上に関する活動をしていました。

マラウイの鉱山組合と働くようになったのは、私が住んでいたムジンバ県に、JICAが支援していた一村一品(OVOP=One Village One Product)事業のグループ「ムジンバ宝石採掘組合」の看板を見つけ、訪問したことがきっかけでした。

マラウイにはいくつかOVOP支援を受けた鉱山組合がありますが、ムジンバ宝石採掘組合はその中の一つで、ムジンバで採掘された石をカットして研磨する機械を導入しています。ただし、カットや研磨の技術が高くないことや、マラウイで入手できるチェーンや留め具などのアクセサリー用パーツが不十分であることから、ジュエリーとして付加価値をつけて販売することが難しく、多くの場合、原石の形を少し整えただけのものをバイヤーに売っていました。

このような状況に対して何かできることはないかと思い、マラウイの首都で実施されたトレードフェアへの出展をサポートしたり、マラウイで採掘される天然石の状況を理解しサポートしてもらえるよう、マラウイに駐在している日本人や外国人を対象に鉱山ツアーを計画・実施したりしていました。

マラウイのアメジスト鉱山(鈴木麻衣撮影)

―マラウイではどんな天然石が採掘され、主にどこで売られているのでしょうか。

マラウイでは、アクアマリン、アメジスト、ガーネット、赤メノウ、クオーツ、トルマリンなどの色石が採掘されています。南アフリカ、タイ、中国などに輸出され、装飾品として販売されることが多いです。

多くの場合、中国人やインド人、コンゴ人らが直接鉱山を訪れ、現金払いで買い付けします。販売する採掘者は次にいつ販売できて現金が入手できるかわからないので、希望の値段でなくても彼らに安い値段で販売してしまいます。日本人関係者や外国のドナー、ボランティアの人たちが石を購入しに組合を訪問していると聞いていますが、日本と商取引しているところはまだありません。

―マラウイの天然石鉱山の採掘者はどんな人たちですか。

採掘権者が労働者を雇用して鉱山を採掘させていて、見つかった石は採掘権者を通じて販売されます。男性だけでなく女性で採掘権を持っている人もいますし、自ら採掘を行う人も多いです。ムジンバ宝石採掘組合の組合長は採掘権を持っていますが、本職は家具職人。その仕事の傍らアクアマリンの採掘現場で採掘し、石を自分でカットしています。

採掘労働者は、地域の住民や別の町から働きに来ている人など様々です。労働者の状況はダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)がリベリアで取り組んでいる問題と同じです。労働者は食料と安い賃金を与えられて採掘を行い、石が売れたらその利益の一部を採掘権者から労働者に還元する仕組みですが、採掘権者は食費や鉱山機械のレンタル費用などを差し引いて支払うので、労働者は正当な分け前がいくらなのかわからず、十分な利益を還元されていません。また、鉱山が町から離れている場合、労働者は山の中に建てられた掘っ立て小屋で生活するので、マラリアなどの病気にもかかりやすくなります。採掘権者もバイヤーにだまされて支払いが行われなかったり、労働者が石を勝手に販売してしまったりする場合もあります。マラウイでもリベリアと同様、組合による交渉力強化が関係者の生計向上に重要です。ムジンバ宝石採掘組合は採掘権者や労働者に対し組合に加入するよう働きかけており、組合として採掘された石を販売することで様々なバイヤーと交渉し、販売価格の引き上げと透明化を推進しています。

マラウイのアメジスト鉱山で採掘作業をする労働者(鈴木麻衣撮影)

 

―採掘事業支援で印象に残っているエピソードはありますか。

ムジンバ宝石採掘組合の鉱山ツアー企画です。ムジンバには素晴らしい天然石があることを多くの人に知ってほしいと思い、青年海外協力隊員の仲間と一緒に計画しました。現場を見学した後に、お土産でもらった石を実際に研磨する体験をしてもらいました。

計2回実施したのですが、2回目は協力隊員などの日本人のボランティアだけでなく、フィリピン人ボランティアや、採掘に興味があるマラウイ人のNGO職員も参加してくれて、多くの人に鉱山労働者の現状を知ってもらう機会になりました。また、このツアーがきっかけで、マラウイ駐在員らがお土産でカットした石などを購入してくれるようになりました。ツアーを一緒に実施した組合員の人たちも「自分たちでできることはある」と思ってくれたはずです。

組合のマーケティング担当のチコメニ・マンダ氏(アメジスト鉱山にて)(鈴木麻衣撮影)

 

2010年にムジンバ宝石採掘組合のメンバーと知り合ってから、10年たってようやく日本に「マラウイ産の石」を紹介できて本当に嬉しいです。この石を通じて少しでも多くの人にマラウイのことを知ってもらい、これをきっかけに世界中の鉱山で起きている問題に対しても目を向けてもらえたらと思います。

 

冒頭写真:ムジンバ宝石採掘組合の組合長らと鈴木理事(鈴木麻衣撮影、許可を得て掲載)右から2番目が今回のチャリティ・ジュエリーに使用されたアクアマリンを採掘したガマ組合長

 

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