歓迎と信頼の絆、コーラナッツ

英語辞書によると、「Welcome」とは両手を広げて人の到着を喜んで迎え入れる行為です。人は歓迎されると、心が休まり、自由にして良いように思え、ある種の特権を享受しているように感じます。見知らぬ人が家に歓迎される理由は様々です。宿を提供されるだけの人もいれば、お互いの利益のための人もいますが、受け入れてくれる人のためになりたいからという人もいます。しかし、どんな理由であれ、彼らは品行方正で善良であることが求められます。

 

リベリアでは15の行政区画(州)に16の部族が住んでいます。これらの部族はそれぞれ異なる慣習を持っていますが、客人を歓迎する慣習は共通しています。ここでは、それぞれの部族がどのように人を歓迎するかをご説明します。特に、南東部と北部地域の慣習を紹介します。南東部の地域にはグレボ族、クル族、クラーン族、バッサ族が暮らしており、北部の地域にはマノ族、ギオ族、クペレ族、ロマ族、バンディ族、キッシ族、メンデ族が暮らしています。これらの部族は異なる信仰や生活様式を持っていますが、同じ地域に住んでいるため、共通の慣習があります。

客人を歓迎する方法

コーラナッツでもてなすのが客人を歓迎する方法です。これは南東部の地域のほとんどの部族の間で行われています。リベリアの文化ではコーラナッツは生命と平和の象徴であり、「コーラナッツを与える人は命を与える人だ」と言われています。そのため、これらの部族の人々は、心からの歓迎を示してコーラナッツを贈ります。

北部地域のバンディ族、ロマ族、キッシ族もコーラナッツを使います。彼らは客人を歓迎する際に、喜びや受け入れの気持ちを示すためにコーラナッツを硬貨や紙幣と交ぜるのです。

儀式とその重要性

南東部の地域では、人々はコーラナッツを少量の胡椒や塩と一緒にお椀に入れ、到着した客人に「あなたが訪ねてきてくれて嬉しいです。これはあなたを迎える喜びを表しています。」と言って差し出します。そしてその客人が少なくともコーラナッツの殻を1つ割り、胡椒や塩をつけて食べてくれることを期待します。この客人の行為は、「私もあなた方と共に過ごせることに喜びを感じています。」ということを示しています。ですが、もし客人がコーラナッツを食べなかったら、罪にはならないものの、部族の人々は歓迎を拒否されたと理解し、遠慮して心を開かなくなります。

バンディ族、ロマ族、キッシ族の場合は少し異なり、胡椒や塩は加えません。その代わりに硬貨や紙幣を交ぜ、客人が少なくともコーラナッツの殻を1つ割り、お互いの信頼の絆の構築を示すものとして目の前で食べてくれることを期待します。

こういった行為は、素朴でおかしなものに見えるかもしれませんが、心からのメッセージを表すとても強力な儀式です。人々は客人を歓迎することは良いことだと考えていますが、平和共存を促進するという点でより重要なのです。

コミュニティでモデルプロジェクトを実施しようとするダイヤモンド・フォー・ピースに対し意欲を示し歓迎するウィズア村の人々

 

ウィズア村でもダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアは同じように歓迎を受けました。西部地域の人々の間では、客人を歓迎するためにコーラナッツを使用することはあまりありません。しかし、ウィズア村のような地域のいくつかでは、人々の移動や相互交流の結果、この慣習が行われています。ウィズア村はダイヤモンドの豊富なコミュニティで、リベリア国内の15州やさらには海外から人々が移住し、多文化経験の機会を提供しています。ウィズア村の人々はダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアが自分たちのコミュニティでモデルプロジェクトを実施することに歓喜し、プロジェクトに協力して成功させようとする意欲を示してくれています。ある時ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアのコーディネーターが訪問すると、ウィズア村の人々はプロジェクトを実施するダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアを歓迎するため、コーラナッツと100リベリアドルを差し出してくれました。

フェアなダイヤモンドを実現するモデルプロジェクトをコミュニティで実施するダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアに対し、コーラナッツを差し出し伝統的な方法で歓迎するウィズア村の人々

まとめ

リベリアの各地に出向く人々が、リベリアの部族の慣習を理解し、すべきこと、すべきでないことの知識を持ち、それによって調和してふるまえることが大切です。客人を歓迎する際にコーラナッツと胡椒や塩を差し出し食べてもらうことは奇妙に聞こえますし、知らない人からすれば、「これは秘密の宗教への入会か何かの儀式か」といったおかしな考えを抱くかもしれません。頭の中をいろいろな考えがめぐるかもしれませんが、このような光景だけを見る前に、現地の慣習を理解していれば、ある程度落ち着いて対応できることでしょう。そうすれば、慣習を知らないために、間違った対応をしてしまうこともありません。

 

冒頭写真:コーラナッツの写真(DFP所有)