Chicago Responsible Jewelry Conference参加報告

みなさまこんにちは、ダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)副代表理事の川合です。

2019年10月25日から26日、すでに冬の寒さの米国シカゴで開かれた、Chicago Responsible Jewelry Conferenceに参加してきました。この会議は、フェアで責任あるジュエリーの原料の調達から、製作、流通を広めるため、2017年から開催されており、ダイヤモンド・フォー・ピース(D F P)は昨年に引き続き2回目の参加となりました。2日間にわたり、世界各国からジュエリーを製作するデザイナーや、原料を調達しているバイヤー、アフリカや南アメリカでダイヤモンド、金の採掘をしている採掘労働者、環境や人権に配慮した採掘を支援する環境、人権、国際協力NGOなど様々な立場、セクターの人が集まりました。DFPも今年はブース出展、登壇し、リベリアでの手掘り採掘労働者の現状と、彼らへの自立支援プロジェクトについて紹介しました。本年は昨年の約2倍となる150人程の参加登録があったとのことで、この話題への関心の高まりが感じられます。会議場内外で参加者の活発な意見・情報交換がされており、熱気あふれる2日間でした。

当団体のブースの様子

 

Day 1

1日目は、金採掘や鉱石の研磨の際にもたらさせる環境や健康被害が大きなテーマでした。金採掘の水銀による環境汚染や健康被害、採掘による森林破壊、鉱石の研磨の際に発生するシリカ粉塵がもたらす健康被害など、世界各国で問題となっている事例を紹介すると共に、それらの解決に向けた、様々な先進的な取り組みが紹介されました。採掘労働者をはじめ、いかにして多くの関係者にこの問題の重要性と解決に向けた協力を得ていくのか、白熱した議論が交わされました。

 

Day 2

2日目は、フェアで責任あるジュエリーのサプライチェーンに携わる様々な関係者が登壇者となり、その取り組みについて詳しく紹介されました。アフリカのタンザニアで女性採掘労働者の地位向上のために組織された連盟の代表者、世界各国のフェアで責任あるジュエリーの製作に取り組むジュエラーによる発表は、リベリアでの採掘労働者の組織化、消費者の啓発活動に取り組む当団体にとっても、とても参考になる内容でした。

金の違法採掘地に住むアマゾン先住民の首長による訴えは、違法な採掘は森林、生態系の破壊だけでなくその土地に住む人々の生活や文化、伝統までをも破壊しかねないということを提起していました。

また、ブロックチェーン技術を用いた、鉱山からジュエリー販売店舗までの宝石の経路を明示する試みについても発表があり、宝石のサプライチェーン透明化に関する世界でも先進的な取組が共有され、今後にむけたディスカッションが参加者間でなされました。

各国のジュエラーたちによるパネルディスカション

 

DFPによるプレゼンテーション

DFPは2017年に実施したリベリアの手掘り採掘労働者実態調査の結果と、現在取り組んでいる彼らへの自立支援プロジェクトについて紹介しました。リベリアで活動をしている団体はDFPだけのため、リベリア独特のサプライチェーンの仕組みや抱える課題、労働者の実態に対して、大きな関心が寄せられました。また、プレゼンテーション終了後、「どの様な支援を一番必要としているのか、どういった協力を求めているか」という声が上がり、とても励まされました。

村上代表理事による発表

また、ランチセッションでも会議参加者の様々な取り組みが紹介されました。その中でも興味深かったのが、Jewelry Glossary Projectです。このプロジェクトは、フェア・トレード、リサイクル、エシカルなど、ジュエリー業界で重要であり、頻繁に使われる言葉の定義と使用の共通化をすすめていこうという取り組みです。これは日本においても必要な取り組みであり、今後、この取り組みを注視していきたいと思います。

2日間を通して、世界各国から集まった参加者の顔ぶれから、いかにこの問題が複雑であり、フェアで責任あるジュエリーのサプライチェーンを作り上げるには困難が多いかを改めて認識しました。一方で、これらの課題を解決するために日々活動している人々が一同に会し、議論し合う場が構築されてきていることに、とても感銘を受けました。来年は是非とも日本でこの問題に取り組む新たな仲間と共に、シカゴに戻ってきたいという思いを強くしました。

各国から集まった参加者たち

冒頭写真:会議場にて、米国在住のボランティアと一緒に(DFP撮影)