手掘りダイヤモンド採掘の出資者へのインタビュー

ウィズア村にて現地スタッフ(写真左)が出資者にインタビューする様子

ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリア スタッフ

手掘りダイヤモンドの採掘には、さまざまな利害関係者が関わっており、その中に出資者あるいは資金提供者と呼ばれる人々がいます。出資者や資金提供者は、手堀りダイヤモンドの採掘に対し、資金や物資を提供しています。手堀りダイヤモンド採掘権所有者と採掘労働者は、採掘したダイヤモンドを出資者へ販売することを口約束し、支援を受けています。採掘権所有者は政府の発行する採掘権を有し、採掘現場を管理する人たちで、採掘労働者は実際に採掘現場でダイヤモンドの採掘する人たちであり、採掘権所有者および採掘労働者(以下、「採掘労働者」とまとめて記載する)は採掘に必要な物資の工面を出資者に頼っています。

ダイヤモンド・フォー・ピースでは、これまでの調査から、出資者と採掘労働者の間に起きている利害の対立を把握しています。採掘労働者は、採掘したダイヤモンドに対して出資者が支払う対価に不満がありますが、採掘にあたって出資者と取り交わした口約束にしばられているため、諦めるほかありません。一方で、出資者も十分な額の財政支援を提供しているのだから、自分たちが利益を得るのは当然だと思っています。

私たちのリベリアでの支援活動の目標は、採掘労働者が自立し、労働環境と生活環境が改善することです。現状では採掘労働者は出資者に依存していることから、出資者について知ることで、この支援活動を前進させることができると考えています。2019年の6月3日から7日にかけて、ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアのスタッフが事業活動地のウィズア村を訪問し、出資者を取り巻く環境を調査しました。

出資者はどのような支援を提供しているのか?

鉱物・エネルギー省は、ダイヤモンドの採掘に関して3種類の採掘権を発行しています。手掘りによるダイヤモンド採掘は「クラスC」に分類され、小規模の手掘り採掘のみが認められ、採掘労働者は、シャベル、“ディガー”(現地特有の採掘道具)、ナタ、“ジグ”(選鉱に使用するザルのようなもの)などの現地で調達可能な簡易な道具の使用しか認められていません。重機は特別な場合を除き使用できず、例えば、岩が多くシャベルやディガーのみでは採掘が困難な場合や、かなり深く採掘する必要がある場合のみ使用が許可されています。つまり、出資者に主に求められる支援は、食料や採掘に使用する道具の提供です。ごくまれに現金の支給や体調不良時に治療費を提供する場合もあります。採掘道具の提供は定期的に行われ、食料は採掘事業期間全体を通して提供することが求められます。

ウィズア村にて現地スタッフ(写真左)が出資者にインタビューする様子

出資者と採掘権所有者および採掘労働者とのパートナーシップ協定

出資者と採掘労働者間のパートナーシップには協定書がありません。協定は口頭で交わされ、お互いに以下のことを了解しています。

「出資者は当該採掘活動中に必要な支援を提供し、採掘労働者はこの期間中に採掘されたダイヤモンドを出資者に販売する」

出資者には、採掘労働者との売買からの取り分はありませんが、この後購入したダイヤモンドを販売し、その過程で出資額を回収して利益を得ます。出資者の話によると、協定書を作成することはなく、それが普通のことのようでした。採掘労働者も、協定書を作成したことはないと言います。

出資者の反応

出資者は調査に協力的で、インタビューも快諾し、正直に質問に回答してくれました。採掘法により、有効な採掘権を所有せずダイヤモンドを所持したり売買したりすることは禁止されていますが、出資者たちは仕事の実態について臆せず真実を語り、発言を控えることもありませんでした。数名の出資者は有効な採掘権を保有していませんでしたが、ダイヤモンドを売買していると認めました。また、出資者たちは自身が支払っているダイヤモンドの対価について、採掘労働者がどう思っているかを把握しているようです。しかし、手掘り採掘労働者はダイヤモンド原石の評価方法を十分に理解しておらず、出資者による支援がどのように行われているかも把握していないと主張しています。

これから

手掘りダイヤモンド採掘は公式経済化されておらず、違法採掘や違法販売などの違法行為も行われています。そこにはダイヤモンドがリベリアから頻繁に密輸されているという現状も含まれます。背景には、有効な仲買人資格を持たない出資者などの存在が大きく関係しています。多くの出資者は、収益性の高いビジネスを求め、採掘への支援提供の見返りとして採掘されたダイヤモンドを売買することを適切なビジネスとみなしています。リベリア政府は採掘権所有者の組合の形成によって、手掘りダイヤモンド採掘セクターの公式経済化を進めており、ダイヤモンド・フォー・ピースはこの活動を支援しています。採掘権を有する出資者は、その役割と利益配分が定められた上で、採掘組合の一員となることもできます。これにより採掘労働者と出資者の関係性が改善するはずですが、その実現に重要である出資者の現状を知るために本調査を実施しました。

 

冒頭写真:ウィズア村にて現地スタッフ(写真左)が出資者にインタビューする様子(DFP所有)