Making Futures2019に登壇

みなさん、こんにちは。代表理事の村上です。

2019年9月19日、イギリスのプリマス・カレッジ・オブ・アートで開催されたMaking Futures 2019カンファレンスに登壇し、ダイヤモンド・フォー・ピースの活動について発表しました。

Making Futures2019のメインテーマは、 ‘People, Place, Meaning: Crafting Social Worlds & Social Making’ (人、場所と意味:社会性のある世界と社会的なモノを形作る)で、アーティスト、デザイナー、都市設計者や、使う素材をより倫理的なものにしようとする人々が、自分達の活動やめざす社会について発表し、意見交換を行いました。

 

私の発表は「責任あるダイヤモンドの調達のためのサプライチェーン上流・下流における取組みのケーススタディ」と題し、ダイヤモンドのサプライチェーン上流における当団体の活動(リベリアでの採掘労働者自立支援)と下流における活動(消費者への啓発活動)により、人道・環境配慮するダイヤモンドを実現していく取組みを紹介しました。

発表の様子
発表スライドの1枚

参加者からは、「リベリアの組合からのダイヤモンドが輸出されたら、ぜひ購入したい」「現地の生の声やデータは貴重で興味深い」等の感想を頂きました。新たなネットワークもでき、今後のコラボレーションのお話なども頂きました。

 

本カンファレンスはテーマ別に分かれた発表の他、全体講演もいくつかありました。全てに共通しているのは、「今行動を起こさなければ手遅れになる」という危機意識。最初の全体発表では、二酸化炭素排出量と気温上昇を表すグラフ、「私達はいつまで石油に依存しますか?」「製品を作るのに『安い労働力』に永久に頼りますか?」「私達の消費習慣を変えることはできますか?」等の強いメッセージが出され、それについて1つの解は無いが、皆が集まり、お互いから学ぶことが必要で、その場を提供するのがMaking Futuresだということです。

「あとどのくらいの間、私達は石油に依存しますか?」

興味深かったセッションをいくつかご紹介します。

パナマの辺境に住むクナ族の女性達が作るモラと言われるパッチワークを、欧米のファッションのメインストリームに取り入れ、製作者達の組合を支援するプロジェクトの紹介がありました。

クナ族の人々が作る独特なパッチワークによる服

クナ族には文字が無いため、昔からの全ての伝統や文化をこのモラで表して次の世代に伝えているそうです。クナ族はパナマの辺境におり、特に上の写真の彼女達は観光客も来ない国境地域に住んでいるため、経済的利益を得ることが難しく、パナマ政府も支援したがらないそう。

モラはパナマのお土産としては人気があるそうですが、お土産市場は飽和状態で販売価格も低いとのこと。一方、彼女達はインターネットや情報へのアクセスがなく、世界市場から取り残されています。英国人の若い女性デザイナーが彼女達と知り合ったことから、欧米のファッション市場に流通できるモラを生かした製品を作れるよう技術支援を行い、彼女達の組合が欧米に製品を輸出するための活動を行っているそうです。

このセッションはダイヤモンド・フォー・ピースが支援する手掘りダイヤモンド採掘者の状況や取り組みと類似するところがあったため、興味深く拝聴しました。

セッションとセッションの合間にちょっとした展示があったり、夕食後にショーがあったりと様々な趣向が凝らされていました。

リサ・シンプソン氏による「服作りで音楽を奏でる」ショー。参加者の服にポケットを付ける作業をしています。裁縫道具やミシンを使うと、接続されている電子音が奏でられるショーでした。

最後の全体セッションでは、グレタさんの一人ストライキから拡大した学校ストライキを実施している大学生による発表もありました。気候変動や環境問題が危機的な状況に陥っていることに大人はきちんと向き合い、解決という責任を果たさないといけないと改めて感じました。

日本では気候変動に対して自分達ができることをしようという意識がまだあまりないように思いますが、英国では一人一人が二酸化炭素排出量を減らすためにできることをしようと思っている人が多い印象を受けました。例えば、育てる過程で二酸化炭素を多く排出し大量の水を必要とする肉の消費を減らそう、使い捨てのプラスチック製品を使わないようにしよう、飛行機より電車を使おうなど。

一人一人のできることは小さくても、それが結集すれば大きな力になるはず。各自がそれぞれの持ち場で責任を果たしていこうとの思いを新たにしたMaking Futures2019でした。

 

冒頭写真:Making Futures開会の1コマ(DFP撮影)