ウィズア村の水不足解消に向けた取り組み

ウィズア村の紹介

ウィズア村はリベリア西部のバポル州にあるダイヤモンド採掘村です。川、森、山など多くの自然に囲まれた美しい村で、2018年に村と保健当局が実施した国勢調査によると人口は5,000人を超えています。この地域はダイヤモンド資源が豊富にあると考えられているため、リベリア国内や近隣諸国から多くの人々が移住しています。

村の主要産業は採掘業です。村には、小学校、診療所、村役場、裁判所、交番、運動場、教会、モスク、2つの携帯電話基地局など、住民が快適に生活するための施設があります。一方で村は多くの問題も抱えており、この記事ではその一つである安全な水の不足について取り上げます。

住民の代表者が集まって水不足の問題について話し合う様子

使える水源が3か所しかない現状

村内には手押し式の取水ポンプが8ヵ所あり、そのうち6ヵ所が公共のもので、2ヵ所が私有のものです。しかし公共ポンプは3ヵ所が故障しており、住民が実際に使うことができるのは残りの3ヵ所しかありません。2ヵ所の私有ポンプは正常に機能していますが、使用できるのは所有者に限られています。正常に機能している3ヵ所の公共ポンプだけでは、5,000人を超える住民に十分な水を供給することはできません。特に乾季の間はポンプの水がすぐに干上がってしまうため、ポンプの利用は午前中のみに制限され、さらに一人当たりの取水量も一定量以下に制限されてしまうなど、十分な量の水を確保することはさらに困難になります。そのため、多くの住民が飲用などの家庭で使用する水を河川などから確保せざるを得ないのが現状です。

水不足が引き起こす問題

すべての生き物は生きていくために安全な水が必要です。人間は飲用だけでなく、調理、洗濯、入浴など日常生活の中でたくさんの水を使います。多くの病気は、食べ物や飲み水が感染源であると考えられており、安全な水がなければ人々の健康は危険にさらされます。安全な水を十分に確保できない住民は、採掘活動や生活用水として使われた汚染された河川の水を利用するしかありません。多くの子どもや大人が、下痢、腸チフス、コレラ、赤痢などの病気にかかり、その原因は河川の水を飲用や家庭用水として使用していることにあると考えています。病気になると、本来は食料や教育など彼らの生活を向上するために使うべきお金が、薬代として消えてしまいます。

会合には学生たちも参加しています

住民たちの取り組み

ウィズア村の住民たちは、安全な水が不足することで起きている問題を認識し、取水ポンプの増設に向けた話し合いを始めています。住民たちはダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアの協力を得て住民の代表者を集めた大規模な会合を開きました。そこでは「コミュニティマッピング」という演習をとおして、村にどのような施設があって、どのような施設が足りないのかを確認しました。「コミュニティマッピング」とは、住んでいる地域内にあるさまざまな施設と、住民たちがそれらの施設をどのように利用しているかを描き出していくことによって、その地域内の課題をさまざまな視点から明らかにする手法です。この演習を行うことで、住民は自分たちの村の長所を知ると同時に、弱みを把握して改善のための策を考えることができます。この演習を通じて住民たちは、安全な水の供給不足が前述したような健康問題を引き起こしていることを発見し、その解決に取り組む必要性を認識することができました。

地面に村の地図を描く住民たち
地面に描かれた地図描き写す学生ボランティア

安全な水を確保するための支援

すべての人々が安全な飲料水を十分に利用できることは、非常に重要で軽視してはならない問題です。すべての人がいつでも水を使えることは当たり前のことに思えるかもしれませんが、ウィズア村の住民たちは安全な水を十分に利用できずに苦しんでいます。彼らは汚染された河川の水を使用しなければならず、感染病の危険にさらされています。また採掘作業、子どもたちの教育、食糧のために使われるべきお金を、病気を治療するための薬代に使わなければならず、生活水準の向上の妨げにもなっています。彼らは水不足の問題を解消するために取水ポンプを増やすことを望んでおり、ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアやその他の人道的支援機関に対して、公共の取水ポンプ設置の支援を求めています。

ダイヤモンド・フォー・ピースは、ウィズア村に取水ポンプと公衆トイレを設置するプロジェクトへの支援を募集しています。新しい取水ポンプ設置にかかる費用は約32万円で、ウィズア村の人々へのポンプの管理に関する研修費用も含まれます。

 

支援にご興味のある方は、こちらのページからご寄付をお願いします。

 

冒頭写真:ウィズア村にある公共ポンプ