2022年と2023年、ダイヤモンド・フォー・ピース (DFP)はウィズア村の4年生から9年生の小中学生を対象に、ゴミのポイ捨てが村に与える悪影響についての意識を高め、正しいゴミ捨てを学んでもらうため、ゴミの適切な処理についてのワークショップを開催しました。ウィズア村の住民は、村や川や森などいたるところにゴミをポイ捨てし、それがどのような悪影響を及ぼすかを知らなかったため、ダイヤモンド・フォー・ピースがワークショップを開催することにしたのです。
およそ200人の生徒がワークショップに参加しました。生徒たちはゴミとは何か、ゴミが人間、動物、そして自然環境に対しどのような影響を与えるのかを学びました。また、生徒たちは正しいゴミの処理をするため、ゴミを燃えるゴミ、燃えないゴミ、リサイクルゴミに分別することを学びました。ワークショップはゴミに関する座学とゴミ拾い実習による二部構成で行いました。
ダイヤモンド・フォー・ピースは、2021年にウィズア村の大人を対象に同様のワークショップを開催したことがあります。ワークショップに感化され、ウィズア村の住民たちは衛生推進委員会(HPC)を設立しました。衛生推進委員会はウィズア村の地域美化のための活動を実施しています。ダイヤモンド・フォー・ピースは、衛生推進委員会のリーダー達が自ら講師となり他の住民や生徒に指導できるよう、まずは2022年の第1回ワークショップ前に村の美化活動への取り組みに対する考えを学ぶ研修を行いました。そして2023年のワークショップ前に、衛生推進委員会のリーダー達を講師として育成し、彼らが学校でのワークショップの講師を務めました。
デボラさんについて
デボラさんはウィズア村にある中学校に通う17歳の生徒です。彼女は2023年度に10年生に進級したばかりです。彼女は2023年にゴミの適切な処理のワークショップに参加した生徒の一人でした。
ワークショップ後、ダイヤモンド・フォー・ピースはデボラさんが自宅や学校内で正しいゴミの捨て方を実践し始めている姿をみかけました。ワークショップを経験したことで彼女は村を美化することの大切さに気づき、自宅のゴミ掃除を始め、家族や友だちに村の美化の大切さを伝えるようになりました。ウィズア村の生徒や住民は、好き勝手にゴミをポイ捨てし、自らゴミを拾う習慣はありませんでした。そのため彼らがゴミを拾い処理するようになることは容易ではありません。
ワークショップ参加前から、デボラさんは、村の人々がゴミをポイ捨てすることに不満を持っていました。子どもながらも村を清潔にしたいと考えていましたが、一人では何もできずに自身の無力さを実感していました。しかし、ワークショップへの参加が彼女を村の美化運動へと駆り立てるきっかけへとなりました。
デボラさんがゴミの適切な処理について家族や近隣の人々に伝える
デボラさんは自宅にゴミ箱を置き、そのゴミを集めてゴミ捨て場まで運んでいます。彼女は家族に対し、いたるところにゴミをポイ捨てするのではくゴミ箱を利用するよう促しました。彼女はまた、近所の各家庭に小さなゴミ箱を設置しゴミを集めるよう伝えました。家族や近所の人々はごみ箱を利用したりしなかったりで、ごみ箱利用はまだ定着していません。デボラさんがゴミ捨ての話をすると、その後しばらくの間、彼らは正しいゴミの捨て方をしますが、時間が経つと無秩序にゴミをポイ捨てする以前の行動へ戻ってしまいます。努力が無駄に終わりそうで、彼女は苛立ちを募らせています。しかし、彼女がゴミの問題について話すと、家族や近所の人たちは少なくとも耳を傾けてはくれます。「私は諦めません。彼らが最終的に自分たちの村をきれいにしないことで起きる悪影響に気づき、村の美化活動を始めるまで私は伝え続けます」と彼女は話します。
デボラさんの挑戦とこれからの計画
デボラさんは家族や近所の人々、友人に、村の美化活動の重要性を伝え続けています。彼女の家族のごみ箱利用はまだ定着していないものの、大抵の場合、彼女の話に耳を傾けてくれています。しかし彼女の友だちは、彼女がゴミの捨て方について話そうとすると笑いものにします。友だちは彼女を「聖母マリア」や「最も文明的な人」とからかって呼びます。彼女は自分が最も清潔な人であることを示そうとしているのだと、彼らは言うのです。彼女はそのような呼び名を受け入れつつも、いたるところにゴミをポイ捨てすることでウィズア村は景観を損ない、悪臭に包まれ、そして住民が病気にかかることになると主張し、彼らにゴミをきちんとした方法で捨てるよう働きかけ続けています。
ウィズア村の人々は、新しいアイデアや新しいやり方を受け入れることが難しいようで、求められる変化が有益であると理解していても、頑なに受け入れられないことが多いようです。デボラさんはウィズア村の人々が正しいゴミ捨てに無頓着であり続けることに苛立つ一方、彼らがいたるところにゴミのポイ捨てをしてしまう長年の習慣も理解をしています。そのため、彼らが態度を変え、正しいゴミ捨てをするまでには時間がかかると考えており、誰かが一貫して推進し続けることによって初めて変化が起きると、信じています。彼女は、地域の美化活動は正しいことであると確信していて、強い熱意を持って推進しています。彼女は衛生推進委員会の活動を支持し、家族や近所の人々や友だちに美化活動の重要性を伝え続けているのです。
まとめ
変化には変化が起こる過程があり、一夜にして起こるものではありません。強い意志を貫く一人の人間から生まれた変化は徐々にウィズア村全体へ拡大していくと私達は信じています。清潔で衛生的なウィズア村を目指す衛生推進委員会の活動を支え、美化活動を村全体へ広めていくことも大切です。
冒頭写真:ゴミ捨てについて話すデボラさん (c)ダイヤモンド・フォー・ピース