養蜂器具の重要性と使用方法

ミツバチの巣箱を作るウィズア村の養蜂研修生

執筆:ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリア スタッフ

はじめに

養蜂はミツバチの家畜化により、はちみつを生産する農業活動の一種です。養蜂は効果的かつ効率的な所得向上手段として、地域社会全体に経済的な安定をもたらすことができます。ダイヤモンド・フォー・ピースは、極貧にある採掘労働者の所得向上を図るため、養蜂プロジェクトをリベリアで実施しています。本記事では、養蜂家が使用するさまざまな器具や器具の使用方法を紹介します。

巣箱

ミツバチの巣箱は外部から閉ざされた形をしており、ミツバチは巣箱の中に巣を作って暮らし、次の世代を育て、はちみつを生産します。巣箱の中には自然にできたものもあれば、人の手により作られたものもあります。はちみつの生産のためにミツバチを家畜化する際、養蜂家は蜂が巣を作りたくなるような場所に巣箱を設置します。巣箱は厚板で作りますが、地域によっては竹の素材で作ることもあります。

完成し設置作業中の巣箱

養蜂用燻煙機

養蜂用燻煙機はミツバチを落ち着かせるために使う道具です。燻煙機は燃料を燃やして煙を発生させる仕組みになっています。煙により、ミツバチの嗅覚の働きが妨げられ、低濃度のフェロモンを探知できなくなります。つまり、煙によって女王蜂と働き蜂との連携が切断され、女王蜂からの指令を働き蜂が受け取ることができなくなるのです。ミツバチは社会性昆虫であり、何もしない限り刺してくることがないので無害な生き物であるように見えます。しかしミツバチは、自分たちが攻撃されていると感じたとき、一斉に襲いかかる非常に危険な生き物です。ミツバチの行動は組織化されており、女王蜂からの指令に従って働き蜂が敵を攻撃します。女王蜂はフェロモンと呼ばれる匂いを放つことで働き蜂と連携します。この知識をもとにして、養蜂家は巣箱を手入れする際やはちみつを収穫する際に、燻煙機を使用します。煙は蜂を混乱させ、蜂同士のネットワークを遮断し、養蜂家を蜂の攻撃から守るのです。

養蜂用燻煙機を使う養蜂家の人々
養蜂用燻煙機を使う養蜂家の人々

防護服

養蜂家が着ている服は防護服と呼ばれます。完全な防護服には、蜂の針から養蜂家を守るために、長袖長ズボンで、帽子と顔を覆う布も付いています。すなわち、養蜂家が蜂に刺されないようにするための服なのです。

 

防護服を着て働く養蜂家

採蜜器

採蜜器は巣板からはちみつを取り出すための道具です。採蜜器を使うことで、巣板を壊すことなくはちみつを取り出すことができます。この方法によって、巣板が巣枠内でそのままの状態で保存されるので、蜂が再びその巣板を使うことができます。はちみつを取り出すことは、養蜂の最も重要な活動です。それは不純物のない液状のはちみつを、巣板から取り出すプロセスです。養蜂家は巣板からはちみつを絞り出すこともできますが、それでは再利用できるはずの巣を壊してしまいます。これこそ採蜜器が重要である所以なのです。

 

巣箱手入れ用の道具

巣箱手入れ用の道具は蜂の巣の状態を調べて手入れするための道具で、養蜂家にとって最も重要な道具の一つです。養蜂家は巣箱を開いたり、巣枠を外すためにこれを使います。ミツバチはプロポリスを使って巣枠を密閉し、蜂の巣を覆って簡単に開かないよう確実に密閉します。この道具を使うことで、養蜂家は蜂の巣を覆っているものを蜂の巣から簡単に引き剥がすことができます。

 

養蜂用ナイフ

養蜂用ナイフもまた巣の手入れに使います。これは蜜蓋を切ったり、巣枠を開けてはちみつを取り出すのに使います。

 

密閉バケツ

密閉バケツは、蓋が付いており空気の出入りができない構造のバケツです。養蜂家は密閉バケツに収穫したはちみつを集めたり、収穫後のはちみつの保管にも使います。

ウィズア村の養蜂研修の参加者は採掘組合員や採掘労働者グループメンバー、女性グループメンバーです。参加者は毎月の実務研修で養蜂器具の使い方や巣箱の手入れ方法を学んでいます。

 

冒頭写真:ミツバチの巣箱を作るウィズア村の養蜂研修生(DFP)