欧州連合、グリーンウォッシュの取り締まりを宣言

 

【2023年3月24日 ロブ・ベイツ(JCK)】

欧州委員会は、横行する「グリーンウォッシュ(環境に配慮した取り組みを行っているとうたっているが、実態が伴っていないこと)」への対抗措置として、消費者の誤解を招きかねない企業側が主張するすべての環境保護製品の宣伝に対して、確固たる証拠を提供することを求める新しい規則を提案しました。

欧州グリーン・ディールのフランス・ティメルマンス上級副委員長は声明で、「海に優しいTシャツ、カーボンニュートラル(工程における温室効果ガス排出量がプラスマイナスしてゼロ)のバナナ、ミツバチに優しいジュース、排出する二酸化炭素を100%埋め合わせる配送など、『グリーンクレーム(環境保護に関する宣伝』はいたるところで見受けられますが、残念ながら、このような宣伝は、根拠や正当性がまったくないまま行われることがあまりにも多いのです」と述べています。

この規則は欧州連合(EU)内の企業を対象としていますが、EU圏内の顧客に営業活動を行う企業もその対象となります。提案されている新規則は、欧州議会の承認を得た上で施行されます。

この新規則の提案は、2020年の欧州委員会の調査で150の環境保護に関する宣伝が評価され、そのうちの53%が「曖昧、誤解を招く、または根拠のない」情報を含んでいることが判明したことを受けてのものです。2020年11月の別の調査では、EU内の企業による環境保護に関する宣伝の40%が誤解を招く可能性が高い内容であることが判明しています。

 

欧州委員会の提案書では、次のように新規則を定めています。

  • 企業が行う環境保護に関する宣伝は、「一般的に認められた」科学的証拠によって立証されなければならない。科学的分析の一環として、企業は、消費者が完全かつ正確な情報を得ることができるように、その製品に関連するあらゆる環境への影響と、考えられる代償を特定しなければなりません。
  • もしある組織が自社製品の環境への影響を競合他社のそれと比較する場合、同等量の情報とデータに基づく公平な比較を行わなければなりません。
  • EUの規定で定められている場合を除き、製品の総合的な環境への影響を集計した統計を使用する宣伝や表示は許可されません。
  • 環境ラベリング制度は堅実で信頼性を高く保ち、むやみな拡散は制限されなければなりません。すべての表示は具体的で明確でなければならず、第三者によって検証され、定期的に見直される必要があります。

 

新規則には、「カーボンニュートラルであること」の宣伝に関する規則も含まれています。

欧州委員会の声明によれば、

「企業は、その宣伝のうち自社の活動に関連する部分とカーボンオフセット(排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資することなどにより、排出される温室効果ガスを埋め合わせること)量の購入に依存する部分を明示しなければなりません」

ということです。

環境団体によると、新規則では十分に現状への対策ができないといい、「カーボンニュートラル」の宣伝禁止を求めています。

米国では、連邦取引委員会が環境に関する宣伝を規制している「グリーンガイド」の見直しに取り組んでいます。同委員会は、2018年、ラボグロウンダイヤモンドおよびダイヤモンドの類似品を販売する8社の業者に対して、「環境にやさしい」や「持続可能」などの「環境保護に関する一般的な宣伝文句」の使用を避けるよう警告する書簡を送付しています。

 

※本記事は米国のメディア「JCK」ホームページに掲載されたものを、許諾を得た上でDFPにて翻訳したものです。

原文:「European Union Vows to Crack Down on Greenwashing」

https://www.jckonline.com/editorial-article/european-union-greenwashing/(2023年6月5日閲覧)

 

冒頭写真:欧州連合旗(フリー素材)