ダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)は2022年12月21日、「スペシャルクリスマスドリンクとプレゼンテーションの夕べ」を英国ロンドンのゴールドスミスセンターで開催しました。私たちの活動を報告し、我々がめざす社会の実現に参加者の皆さんがどのように貢献できるかを知って頂くことが目的です。
まず、イベントは「リベリアにおけるダイヤモンド原石評価基礎研修」事業の講師であるベス・ウエスト氏の発表から始まりました。ウエスト氏は、2022年4月にリベリアで自身が講師として参加したワークショップの概要について語りました。17の採掘地域から集まった手掘りダイヤモンド採掘者達に対し、ウエスト氏が教えたことは、とても基本的なダイヤモンドの評価方法や、自分たちが採掘しているダイヤモンドの真の価値や、ダイヤモンドサプライチェーンにおいて彼らの自立度合いを高める(つまり現在依存している資金提供者への依存度を減らす)ために必要な知識などです。
ウエスト氏による発表の後、DFP代表理事の村上がこの団体を立ち上げた理由、取り組んでいる事業を続けられる原動力について話し、団体が手掛けてきた様々な活動について発表しました。ダイヤモンドサプライチェーンで働く人たちの労働条件と社会的地位の改善というミッション実現のため、DFPは経済面と教育面の課題解決のための活動を展開しています。
採掘者達は経済面において、採掘費用を賄うために資金提供者の資金に頼っているため、その見返りとしてダイヤモンドを資金提供者の「好都合な」低価格で販売しなければなりません。その結果利益をあげられず、資金提供者に依存し続けなければならない悪循環に陥っています。さらにダイヤモンドの価値に関する知識が欠如しているため、価格交渉をすることができません。この悪循環を断ち切るため、収入向上活動、原石評価研修、そして村への総合的支援などを通して、リベリアのダイヤモンド採掘地域の自立を目指しています。
収入向上活動
さらなる所得を生むためのスキルと知識を得ることで、採掘者達は組合を運営するのに必要な資金を調達することができ、ひいては「資金提供者」への依存を減らし自主性を高めることができます。これによりダイヤモンドサプライチェーンの透明性が向上し、採掘者達は採掘したダイヤモンドに対して適正な価格を支払ってもらえるようになります。
私たちが推し進める収入向上活動は主に、養蜂、アグロフォレストリー(森林農業)、組合による養魚池の設置・運営、採掘労働者グループによるせっけんの製造販売、そして女性グループによる米と油の販売です。
収入向上活動は、採掘者達に経済的自立による自由を与えるだけでなく、農業や養蜂といった実践的なスキルに加え、ビジネスモデルの作成や予算の管理といったスキル向上の機会も提供するわけですが、これらがいかに採掘者達に役立つかを本イベントで目の当たりにしました。イベントで流した動画では、ウィズアの人たちがとても喜び、感謝している様子が見られました。新しい養魚池へ稚魚を初めて入れる際、地域の皆さんが期待のあまり、真夜中に稚魚を放ったというエピソードもありました。
教育事業
DFPでは複数の教育事業を実施しています。例えば、採掘者達が法律、人権、環境を尊重しデューデリジェンス(評価)を実施することの重要性を理解するためのワークショップを実施しました。上述した原石評価基礎研修の他、責任ある採掘、科学に基づく効率的な採掘方法を教授するワークショップを2022年12月に実施しました。これは、ダイヤモンドは魔術によって支配されている、ダイヤモンドには磁力がある、といった採掘者達の思い込みや迷信に基づく採掘を減らすためです。
村への総合的支援
次に村上は、地域社会の支援のために行っている追加事業について語りました。せっけんやマスクなどの提供といった新型コロナウイルス感染症大流行時の支援、新たな公共トイレの設置(屋外排泄で有名な「うんち川」と呼ばれる集落に、ウィズア村で初めての公共トイレを設置)、そして環境保護や衛生向上活動などについてです。
DFPへの支援方法発表は、組合の設立・運営、収入向上、教育事業などといったDFPの手掛けるすべての活動が一体となることが、ダイヤモンドサプライチェーンの透明性や倫理性を高めることにつながることの説明で締めくくられました。イベントの参加者やDFPのビジョンの実現を支援したい人は誰でも、寄付をすること、DFPサポーター会員や法人会員になること、彼らが行う重要な取り組みへの関心を引き続き高めていくことで支援できます。
発表後は、全員が残ってワインとおつまみを楽しみながら、聞いた内容について意見交換を行いました。
講演の録画はこちらのリンクからご覧いただけます(英語のみ)。