執筆者:ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリア スタッフ
ウィリアム・タブマン元大統領の略歴
アフリカ初の共和国として知られるリベリアは、ジョセフ・ジェンキンス・ロバーツ初代大統領からジョージ・ウェア現大統領まで、独立してから25人の大統領がいます。その一人が、第19代大統領ウィリアム・タブマン氏です。タブマン氏は亡くなりましたが、彼の功績は今も語り継がれています。
タブマン氏は1895年11月29日に、リベリアのメリーランド州にあるハーパーに生まれました。その後、リベリア史上、最も長く在任した大統領として有名な政治家の一人となりました。1944年の当選から1971年に亡くなるまでの27年間、タブマン氏はリベリアのために尽くしました。
なぜタブマン氏の誕生日は国民の祝日なのか?
タブマン氏は、大統領任期中に多くの良い変革をリベリアにもたらしました。その数々の公務と政策の功績を称えて、タブマン氏の誕生日である11月29日が国民の祝日となりました。彼が実施した政策には、門戸開放政策(日本における自由貿易政策)、アメリコ・ライベリアン(リベリアにおける米国解放奴隷の子孫)と原住民を一つにして国を統一するための国家統一統合政策、選挙で投票し、当選する機会を女性に与えた女性参政権があります。それまでは、女性は選挙で投票することも、公務員に選出されることも許されませんでした[i]。
タブマン氏の特筆すべき功績として、アフリカ統一機構(Organization of African Unity(OAU)、現在のアフリカ連合)の設立が挙げられます。タブマン氏はアフリカ統一の必要性を見通し、同志であるアフリカのリーダーたちを説得した人物でした。今日のアフリカ連合を設立する上で、タブマン氏は非常に大きな貢献を果たしたのです。
祝日の本質
リベリア人は、それぞれの祝日をその祝日にちなんだ方法でお祝いします。祝日が故人を偲ぶものであれば、祝日の間、その個人の人生と有名な功績についてお祝いします。祝日がある出来事をお祝いする日であれば、その出来事について象徴的にお祝いします。よってウィリアム・タブマン記念日には、彼の人生とリベリアへの貢献を祝います。リベリア政府もタブマン氏の多くの功績を称える国家行事を催します。
少し前までは様々な染料を使ってフェイス・ペイントを施し、クル族に伝わる伝統的な歌を歌い、踊りながら町を練り歩きお祝いしていました。これはタブマン氏が属するクル民族の伝統的な行事を象徴するものです。フェイス・ペイントの慣習は残ったものの、今では11月29日は海で楽しむ日として広く知られるようになりました。実際に、多くの人々がタブマン氏の誕生日を祝うこの祝日を海の祝日だと思っています。
ウィリアム・タブマン記念日が来ると、若者もお年寄りも多くの人々が浜辺に行ってお酒を飲み、海や浅瀬で泳ぎ始めます。なぜタブマン元大統領の人生や功績を偲んでいた日が海の祝日になったのかは知られていませんが、ある若者たちが数年前に始めたことが思い起こされます。
彼らは浜辺を訪れた後、半裸で、自動車やオートバイに乗って危険な運転をしながら乱暴を行い、多くの人々をパニックに陥らせました。こういった振る舞いが、毎年同じ日に繰り返されました。そのためリベリア政府は、危険運転や半裸のままで海から町に戻ることなどを禁止しました。しかし、人々はリベリア政府の命令を尊重したものの、海に行くことを止めませんでした。そのころから、ウィリアム・タブマン記念日はリベリア(特に都市部)において海の祝日として有名になりました。
おわりに
国民の祝祭日は仕事や学校を休むためのものだと考える人は多いでしょう。祝日に家族や友人に会いに行く人もいれば、自宅でくつろいだり、娯楽施設に遊びに行ったりする人もいます。祝日の過ごし方がどうであれ、祝日は重要な行事や人々の功績を称えて制定されたものだということを覚えておきたいですね。祝日の制定された意味や目的を忘れずに祝い続けることが大切だと考えます。
[i] Daily Observer, 2014, “William, V.S. Tubman’s Legacy”
https://www.liberianobserver.com/lib-life/history-us/william-v-s-tubmans-legacy (2018年12月3日閲覧)
冒頭写真:浅瀬で楽しむ人々の様子(撮影:ダイヤモンド・フォー・ピース)