リベリアの伝統的な結婚式-ウィンストンの場合-

リベリアの法律において、結婚には二種類あります。伝統的あるいは慣習的な結婚と法に基づく結婚です。慣習に基づき結婚した人は、1人の男性もしくは女性が,同時に2人以上の配偶者と婚姻関係を持つ複婚をすることもあります。リベリアの法律においてこれらの結婚は、合法であり厳粛なものなのです。

伝統的な結婚式では、花嫁の家族への贈り物とコーラナッツ(クリの実ほどの大きさで白色から赤色。実を少しずつ噛み砕いて楽しむ嗜好品として用いられる)割りが行われます。ほとんどのリベリアの伝統的な結婚の贈り物には金銭とコーラナッツ割りが含まれます。そのため多くの伝統を重んじる人々は、これが女性への「支払い」であると誤ってとらえ、結婚において女性は所有物であると考えています。伝統的結婚は、どちらかが死亡または離婚するまで続きます。離婚のための条件は、規定された伝統に従います。

ウィンストンの場合

2016年10月30日、ウインストン・ンゴベとエリザベス・デュークリーの伝統的な結婚式が執り行われました。

伝統的な結婚式の形式

結婚式は、伝統的な歌とダンスのパフォーマンスで始まりました。参列した花嫁と花婿の家族、友人たちと新郎新婦を祝福する人々は、歌を歌い、踊り、二人の結婚を大いに祝いました。

慣習と伝統によると、花嫁の叔父が彼の姪の結婚に協力する責任を負います。一方、花婿の叔父は、甥のために花嫁を見つける責任があります。そのためウィンストンの伝統的な結婚式では、結婚の意思表示は彼の叔父のジェファソン・ガトーが行いました。彼は「私はあなたの家できれいな娘さんに会いまして、私の息子と結婚していただきたいとお願いに来ました。」と話し始めました。エリザベスの叔父が答えます。「きれいな娘とおっしゃいましたが、誰のことでしょうか。」

ガトー「 彼女の名前はエリザベスです。」

花嫁の叔父「 そうですか。しかし、私は何人ものエリザベスを知っているので、あなたのおっしゃるエリザベスが分かりません。しかし、私は彼女たちを一人ずつあなたの所にお連れしますので、あなたの仰るエリザベスを見たら教えてください。」

この場面は非常に面白く、花嫁の家族は連れてくる女性が誰であるか分からなくするため、何人もの女性たちに服をたくさん着込ませてから彼女たちを次々と登場させたのです。この過程で彼らは女性に着せたたくさんの衣類を脱がせるために花婿の家族や友人達からお金を集めました。すべての衣類を脱ぎ終わると、皆はその女性が問題のエリザベスではないと分かり、大笑いしました。このプロセスは本物のエリザベスが登場するまで続くのでした。それから皆は喜んでお祝いを始め、至るところにお金を撒き始めたのです。

続いてもう一つの儀式は、コーラナッツ割りです。花嫁の家族は、葉に包んだコーラナッツを非常に細い糸でさらに何重にも結んでから、花嫁に非常にゆっくりとその糸をほどくように頼みました。この間お金が差し出されますが、ついに花嫁が糸をほどき終えると平和と人生を表すものとしてコーラナッツは家族や他の人々に配られます。この儀式の目的は、新郎新婦が互いに求められる忍耐のレベルを表すということです。

結婚式の最後に花嫁の家族への贈り物である約48米ドルが渡されて、花嫁は正式にウィンストンの妻となるのです。

冒頭写真:お金が払われる間にコーラナッツの包みをほどく新婦のエリザベス(DFP所有)