【2016年9月20日 ラファエル・マルケス・デ・モライス(マカ・アンゴラ)】
村、家、農作物を取り壊し、採掘事業を拡大するという決定により、数百人のアンゴラの小作農やその家族は、ルンダ・ノルテ州北東部のダイヤモンド採掘地域で、国によって後押しされた飢饉に直面するかもしれません。
アンゴラのダイヤモンド採掘複合企業である、クアンゴ鉱山会社(SMC)は、カフンフォ地域(クアンゴ市)で何百もの農園を組織ぐるみで徹底的に破壊するよう命じたと告発されており、現地のアンゴラ解放人民運動党(MPLA)の政権が村民を強制的に移動させ、家、換金作物、菜園を取り壊すように命じています。
村民は滅茶苦茶にされた農作物に対する補償が全く適切ではなく、結局6万クワンザ(非公式の為替レートで約115米ドル)程度の補償金と、空の水樽だけだと不平を言います。
この措置に関わった政府関係者の一人は「小作農は1~4ヘクタールの土地で農業を行っていたかもしれないが、耕作面積にかかわらず、補償金は一人あたり合計で最高6万クワンザだ」と述べています。
マカ・アンゴラがクアンゴ市から集めた資料によると、この1年でSMCは402の農園を破壊するよう命じました。クアンゴ市農政局は、さらに123の農園をこれから強制排除する候補に挙げています。この場合、強制排除の提案には、数ヵ所の近隣の農場に加え、ムアムシコのすべての村の取り壊しも含まれています。
現地の政府関係者は「取り壊しの命令は、SMCの運営責任者であるマイク・ウエア氏から出されているが、ウエア氏はただ首都ルアンダのSMC取締役からの命令に従っているだけだ」とマカ・アンゴラに匿名で暴露しました。
情報筋によると、その命令はアンジェリカ・ウンバ・シャサンガ市長に伝えられ、市長が農政担当者のジョアン・ユージニオ氏に、被害者に対して一律の補償金を支払いに行くよう指示しているそうです。さらに情報筋は、「ジョアン・ユージニオ氏がいつも重武装の警官を引き連れているため、市民は彼と口論することができない。もし市民が抗議すれば、警官が脅迫する」といいます。
ルンダス地域におけるダイヤモンド採掘は、地域住民に暴力や苦痛以外ほとんど何ももたらしてきませんでした。そのような地域住民は、他の仕事が十分にない地域で自給自足農業に依存していますが、その地域住民の生活を守る方法として、若者も高齢者も含め、多くの市民が無届けの手掘りダイヤモンド採掘を行います。もし無届けの採掘労働者がSMCによって雇われた民間警備会社に捕まれば、暴行や殺害などの乱暴な処罰を受けます。
ムアムシコの村長は、「皆が農業に専念し、この地域から飢饉をなくすべきだと、ここの市民に言ったのはジョゼ・エドアルド・ドス・サントス政権だった。政府関係者が我々の息子にダイヤモンド探査をやめ、代わりに農業を行うよう命じた」と述べました。
ムアムシコのソーバ(部族長)は「いまやドス・サントス政権がSMCに我々の農作物を破壊する権限を与えている」と訴え、「あの男は偽善者だ。奴の政権は人命ではなくダイヤモンドを尊重している。我々は農業を続けなければならない。奴らがここにやって来て我々を殺すまでは」と話します。
さらにソーバは「ダイヤモンドが尽きれば、ダイヤモンド関連会社はいなくなり、掘り起こした土砂の山と穴ぼこが残るだけだ」と言います。ソーバは村の取り壊しや農作物の破壊に対する抗議デモを取りまとめており、彼曰く、市民は立ち向かい死ぬ覚悟ができているそうです。
ムアムシコ村の取り壊し
ムアムシコのソーバの代理であるパウリーノ・ムワチングンゴ氏は「我々の村はシャカンガ川とカマコンデ川の間にあるにもかかわらず、 SMCは我々が川から水を汲むことを禁じる」と言います。
さらにムワチングンゴ氏は次のように語ります。「SMCは我々の家を取り壊し、村を乗っ取ると言った。ソーバはこのことについて市長に話し、村民が無理やり退去させられるならば、家や栽培した木と一緒に移るべきだと伝えようとした。そうでなければ、自分の生まれ育ったこの場所で、死んだ方がましだ」
「ルンダス地域で見つかるダイヤモンドは市民に恩恵をもたらさない。ムアムシコには医療機関や学校すらない。政府とそのような採掘会社はただ我々を破滅させ、我々のものを盗んでいく」
村民の考えでは、土地の補償にかかわらず、土地は村民のものだといいます。村には74軒の家があり、50本のマンゴーの木、30本のアボカドの木、90本のヤシの木、家庭菜園を行っているその他の種類の木を含め、87種類の農作物を栽培する市民が約620人います。このすべてが取り壊される予定なのです。
「アンジェリカ・ウンバ・シャサンガ市長はソーバに対して、すべての地域住民が立ち退くのは普通のことであり、自身もナジにある故郷の村が取り壊されるのを見てきたと説得しようとしました」しかし、同意には至りません。
ソーバにとっても村民にとっても、農作物は自給自足の唯一の手段です。ムアムシコのソーバは「農業を行っているから、私の家、家族を支えるのに必要なすべてのものを手に入れることができるのです」と述べ、今まで政府から政党のバナーや帽子以外何ももらったことがなく、村長に与えられるべき制服や賃金の約束も政府は果たしていないといいます。
その地域の他の小作農も同様の不平をもらします。パウリーナ・シャコール氏(45歳)は最近SMCの担当者から、シャメイア川の側の彼女の所有する農園が近いうちに取り壊されるという連絡を受けたそうです。シャコール氏は「SMCの責任者や政府は私たち全員を飢えで殺そうとしているに違いありません」話します。彼女は土地の補償金も空の水樽も受け取らないと言い、「土地は私のすべてであり、私の『夫』です。土地があるから、私は必要なものすべてを手に入れることができるのです。子どもの勉強用の教科書も買えるのです。私はヤム芋、キビ、落花生、サツマイモ、キャベツ、バナナ、その他全部を栽培して売っています」と語りました。
ルーツィア・ジョエル氏(38歳)は、すでにSMCからシャメイア川の川岸沿いの農園を破壊するという命令を受けました。ジョエル氏は主にヤム芋を栽培していました。彼女は「私は何ももらえなかった。農作物をすべて残らず破壊され、私は栽培するものが何もありません。これからどうなるかなど誰にもわかりません」と話します。
ここ3ヵ月、マカ・アンゴラは、ポーネ川、ルエ川、カミレンゴ川、カマロワ川、サシ川の川岸沿いで、さらに98の農園が破壊されるという詳細な情報も入手しました。
SMCはコメントせず
マカ・アンゴラは、SMCの採掘事業部長のいる事務所に連絡を取り、これまで述べたような苦情を伝えましたが、どの質問にも答えてくれませんでした。フィルミノ・ ヴァレリアーノ副部長の部下と電話で話しましたが、たとえ書面でも、質問には全面的に応じないとのことでした。
SMCは、アンゴラ国有ダイヤモンド会社のエンディアマ社(41%)、ITM鉱山会社(38%)、ルマネ社(21%)の3つの会社の合弁企業です。
ITM鉱山会社の提携者には、モザンビーク国籍のレナート・エルクラーノ・テイシェイラ氏(社長)、イギリス国籍のアンドリュー・ジョン・スミス氏(副社長)、アンゴラ国籍のセルジオ・エドアルド・モンティエロ・ダ・コスタ氏(事業部長)もいます。
ルマネ社に関しては、多くの大臣や将官が折半して所有権を握っています。大臣や将官というのは、国務大臣であり大統領府参謀長のエルデル・マニュエル・ヴィエラ・ディアス将官(通称:コペリパ将官)、アンゴラ軍の監察長官のカルロス・ヘルドリック・バール・ダ・シルバ氏、国家軍隊養成所長のアドリアーノ・マケベラ・マッケンジー将官、MPLA議員のアルマンド・クルース・ネト将官、ジョン・バチスタ・デ・マトス将官、ルイス・ペリエア・ファセイラ将官、アントニオ・エミリオ・ファセイラ将官です。
全員が関与して、巨額の富を築いています。
*本報告には、クアンゴ出身のジョーダン・ムアカビンザ氏が貢献しています。
※本記事はアンゴラ共和国のメディア「Maka Angola」ホームページに掲載されたものを、許可を得た上でDFPが翻訳しました。
原文:「Diamond Barons Destroy Food Crops」
http://www.makaangola.org/2016/09/diamond-barons-destroy-food-crops/ (2017年12月8日閲覧)