【2016年12月2日 ズジア・ダニエルスキ(パートナーシップ・アフリカ・カナダ)オタワ・カナダ】
「カメルーンの不十分なトレーサビリティ体制が、密輸・汚職の機会を創出」 キンバリープロセス、新たな報告に対処すべき
パートナーシップ・アフリカ・カナダは本日公表した報告書において、カメルーン共和国(以下、カメルーン)の不十分な統制、密輸、汚職により中央アフリカ共和国の紛争ダイヤモンドが、国境を越えて合法的なサプライ・チェーンに流入していることを伝えています。
報告書「紛争ダイヤモンドから違法ダイヤモンドまで:中央アフリカ共和国からカメルーンへのダイヤモンド取引をめぐる調査」は、カメルーンがキンバリープロセス(紛争ダイヤモンドの取引を抑止するための国際ダイヤモンド認証制度)の遵守を怠っていたことを明らかにしています。本報告書はカメルーンにおけるダイヤモンドの採掘・取引に関する内部統制を評価するための、キンバリープロセス調査団の訪問直前に公表されました。
中央アフリカ共和国からのダイヤモンド輸出は内戦を引き起こした2013年のクーデターの後、国際的に禁止されました。キンバリープロセスは、今年、制度に準拠しており紛争に関与していないと考えられる地域については、禁輸措置を部分的に解除しました。しかし、パートナーシップ・アフリカ・カナダは、紛争ダイヤモンドの違法取引はまだ続いていることを突き止めました。
「“ブラッド・ダイヤモンド”が中央アフリカ共和国の戦争の資金源になっていることに対する国際的な抗議がその取引を止めさせる活動のきっかけになったにも関わらず、その近隣国が同じように注目されることはありませんでした」とパートナーシップ・アフリカ・カナダのジョアンヌ・レベルト事務局長は語っています。
採掘労働者、流通・仲介業者、輸出業者へのインタビューでは、900kmに渡って接するカメルーンと中央アフリカ共和国の国境地帯での密輸、ダイヤモンド産地証明に関わる役人らによる汚職、カメルーンの輸送ハブを未申告で通過する禁輸されているはずの紛争ダイヤモンドの大量輸出について、詳しく述べられています。
本報告書は、カメルーン人の仲介業者が、川を渡り中央アフリカ共和国でダイヤモンドを購入し、カメルーン東部地域の仲介業者に渡る様子を報告しています。カメルーン原産として「自己申告」されたダイヤモンドは、紛争に関与していないものとしてキンバリープロセスで認証され、国際市場へと輸出されていきます。
パートナーシップ・アフリカ・カナダの研究員で本報告書の著者であるオファー・オバール氏は「キンバリープロセス調査団がカメルーンを訪問するからには、すぐに措置を講じ、加工業者、小売業者、そして最も重要なことには消費者に対して、紛争ダイヤモンドの流通を止めることができるのだということを実際に示さなければなりません」と語っています。
パートナーシップ・アフリカ・カナダは、カメルーンに対し、3ヶ月以内に内部統制を強化し、その間は専門家や外部監視なしに同国からダイヤモンドが輸出されることのないよう特別措置をとることを、キンバリープロセスに要求しています。
また、本報告書は、中央アフリカ共和国の紛争ダイヤモンドの不法取引に対処するため、コンゴ民主共和国やアンゴラ共和国などの近隣国も巻き込んだ調和的な戦略としての地域的アプローチを要求しています。
※本記事はカナダのNGO「Partnership Africa Canada」ホームページに掲載されたものを許諾を得た上、DFPが翻訳しました。
原文:「Conflict Diamonds from CAR Entering International Markets via Cameroon」
http://www.pacweb.org/en/pac-media/press-releases/269-conflict-diamonds-from-car-entering-international-markets-via-cameroon
(2017年4月15日閲覧)
冒頭写真:報告書「紛争ダイヤモンドから違法ダイヤモンドまで:中央アフリカ共和国からカメルーンへのダイヤモンド取引をめぐる調査」表紙に掲載された写真