ウィズア村にて養蜂家のための実務研修を実施

 

執筆:ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリア スタッフ

はじめに

ウィズア村の養蜂家は、養蜂を始めて日も浅く経験も未熟です。ミツバチの飼育は初めてなので、実務研修を通じて育成していく必要があります。彼らは養蜂の基礎を学ぶ5日間の研修を受けましたが、これは養蜂の入門にすぎません。養蜂をマスターするには、最初のはちみつ採取が終わるまで毎月の実務研修で指導を受けることが求められます。養蜂はほぼ現場作業であることから、養蜂家は常に実践的に巣箱を手入れしなければなりません。

実務研修

実務研修では、養蜂家はまず以前自分で巣箱を設置した場所へ、講師や現場の普及員により案内されます。講師は巣箱の手入れ方法に関する実務研修を行い、ミツバチを巣に誘導する技術を教えました。森には、基礎研修の際、講師の指導のもとで受講者が設置した巣箱が60ほど点在しています。今回の実務研修では、既存の巣箱にいかにミツバチを誘い込むか、またどのように巣箱をきちんと手入れするかに重点が置かれます。ミツバチには敵も存在し、しばしば攻撃をしかけてきます。受講者である駆け出し養蜂家は、ミツバチがどのように敵から襲われるのかを知ることになりました。住みついた巣箱から、ミツバチの群れがまるごといなくなっていた様子を目の当たりにしたのです。

ミツバチが巣から退散したのは、敵であるアリから逃れるためです。さらに、駆け出し養蜂家が、何かおかしなことが起きていないかきちんと巣箱を見回っていなかったのも原因でした。もしこまめに巣箱を点検していれば、アリによる退避を見つけることができ、アリが勝利を収めるのを阻止することもできたはずです。巣箱の手入れとはそういうことなのです。また、講師の指導のもと、受講者は多くの巣箱を別の場所に移すことになりました。もとの設置場所が日陰だったため、日光が十分に当たっていなかったからです。

これまでの進捗

駆け出し養蜂家が、養蜂に関するあらゆる知識と経験を身につけるまでには長い道のりがあります。彼らにとって初めてのはちみつ採取は、ずいぶん先のことですが、それでも彼らはこれまでに成果を上げています。もともと最初の研修で養蜂の基礎は習得しています。巣箱内部の仕切り方や巣箱の作り方を学び、70あまりの巣箱を森のあちこちに設置しました。そのうち本記事執筆時点では2個にミツバチが住みつき、ここから駆け出し養蜂家は養蜂の実体験を積み重ねていきます。これこそ養蜂においてもっとも全力を注ぐべき局面といえます。

巣箱が適切に保たれているか点検するウィズア村の駆け出し養蜂家

養蜂家が直面している課題

駆け出し養蜂家が直面している主な課題は次のとおりです。

  1. 巣箱上部の巣板について知識が乏しいこと
  2. 森に設置した巣箱にミツバチの群れを住みつかせること

ダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)は、ユニバーサル・アウトリーチ・ファンデーション(UOF)に巣箱60個の作成を注文し、これを養蜂家に提供しました。加えて150個分の巣箱作りに必要な厚板150枚も支給しました。養蜂の基礎研修中、受講者はそれらの板を使い、講師の監督のもと巣箱をまず10個作りました。彼らは板を用いた巣箱の組み立て方法を研修で習いましたが、上部の巣板までは作ることができませんでした。上部の巣板は巣箱を覆うためのもので、ここにミツバチは巣をかけます。今回の実務研修にて、養蜂家は巣板をどのように厚板で作るかを教わったものの、まだまだ勉強中です。

養蜂家が森のあちこちに70個ほど巣箱を設置してから2ヵ月が経ちましたが、ミツバチの群れが住みついたのはわずか2個のみでした。これには駆け出し養蜂家も悔しい思いをしています。巣箱にミツバチを迎え入れることを心待ちにしていたので、うまくいかないとがっかりし、投げ出したいと思うこともありました。養蜂を始めたばかりなのでなおさらです。

巣箱を新しい場所に無事に移動させた養蜂家たち

課題への今後の対応

巣箱150個の作成ともなると、それに必要な上部の巣板も大量なので、駆け出し養蜂家は簡単に作れません。そのため、UOFは私たちと協力し彼らを支援する予定です。

結びに

養蜂がリベリアで成功する可能性は高く、養蜂家も今非常に熱意にあふれています。しかし、実りある成果を上げるために、彼らは忍耐強く、粘り強くなければなりません。

【追記】

本記事執筆時点の2020年11月末では、ミツバチが住みついた巣箱は2つでしたが、2021年3月末時点では9つに増加しています。

 

冒頭写真:ミツバチを誘い込んで巣箱に住みついてもらうため、巣箱を適切な場所に移すウィズア村の養蜂家(DFP)