リベリア西部鉱山地域の人々の多くは、ダイヤモンドの採掘職人として生計を立てており、その大半は、穴を掘るなどの労働に従事しています。彼らにとって、その労働こそが生きるための頼みの綱なのです。
ゴンドールタウンは、グランドケープマウント州西部のダイヤモンド鉱山地域であり、ケイタ採掘地域の最大の採掘現場の一つです。3000を超える人々がその村に居住し、そのほとんどがダイヤモンド鉱山労働に携わっており、そのほとんどが零細個人事業主です。1960年代初めにこの村で初めてダイヤモンドが発見されました。それ以来、価値の高いダイヤモンドが大量に産み出されてきたのです。そんな高品質のダイヤモンドが産出され続けているにも関わらず、人々は貧困にあえいでいます。劣悪な衛生状態、悪路の数々や不十分な健康管理など問題を抱えているのです。これらを解決するために、この地域で選出された国会議員の援助を得て自分たちで地元の橋を修繕しようと試みています。国会議員は電動のこぎりやガソリンを用意し、地域からは労働力と食料が提供されました。
彼らは個人事業者として何年も必死に鉱業に従事してきましたが、そのやり方のままでは何の利益も得られないと強く感じており、経済や社会的状況の改善方法の一つとして組合を結成することを思いつきました。昨今の採掘業を取り巻く環境は、個人事業者にとってはかなり厳しい状況であることに気づき、鉱夫にとって組合を結成し共に働くことが、最良の方法だと考えたのです。
この背景には、3年前に彼らの一人が発起した、“ゴンドールタウン・金&ダイヤモンド採掘多目的協同組合(Gondor Town Gold and Diamond Mining Multipurpose Cooperative Society and Mineral Brokers)”と称する多目的組合の発足があります。研修を受け、6ヵ月間の運営許可を与えられるという、順調なプロセスを辿りました。
その6ヵ月の間、彼らは目立つ看板を作ったり銀行口座を開設したりと、運営に向けた準備に取り掛かっていました。しかし、組合設立を提言した同僚が金銭的な不正行為など不誠実な行いをした結果、組合の運営は頓挫したのです。彼は組合が支援を受けていた資金をくすね、シャベルや工機類の資材も換金し自分の資産にしてしまったのです。ついには、組合は破綻しました。
このような経験をしたにもかかわらず、組合の結成こそが、今までの虚しい努力を実りあるものにすると、彼らは考えています。また一方で、多くの仲間がいまだに組合結成に不安を抱えているのも事実です。再び結成された42人の有資格と無資格の鉱夫たちからなる別の組合も、発足から休眠状態に陥っています。情報によれば、過去のその事例に起因する懸念やリーダーシップの欠如、技術・経済面での援助が不十分であることが理由だそうです。
ゴンドールタウンの人々は、団結することを強く望んでいます。これまで、彼らはそのために努力をしてきましたし、今も一共同体として多くの問題を解決すべく努力を続けています。
彼らに必要なのは、技術支援のみならず、組合結成によって要望を具現化するための民主的な統治制度なのかもしれません。
“ゴンドールタウン・金&ダイヤモンド採掘多目的組合”の破綻に伴い、このオフィスは廃墟になりました。しかし、同組合を引き継いだ別の組合が利用する予定で、修繕の計画が進められています。
冒頭写真:地域によって修繕された一本の橋(ダイヤモンド・フォー・ピース撮影)