執筆者:ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリア スタッフ
リベリアのサンデソサエティとは
サンデソサエティとは、女性のためのブッシュスクールを開講するリベリアの女性秘密結社のことで、若い女性に大人になるための責任を教えることを目的としています。リベリアの社会では、すべての少女がサンデソサエティに入ることを求められています。サンデソサエティに入ると、若い女性たちはモラル、家事、勤勉さ、将来の家庭での立ち振る舞いなどを教えられます。サンデソサエティにおける重要な価値観の一つに、「サンデソサエティの会員でない者にはサンデの秘密を決して話してはならない」ということがあります。女性たちは、この価値観を守ることを厳に言い聞かせられ、サンデの活動に限らず、あらゆることにおいて口をつぐむことを学びます。公に必要なことは話しますが、秘密とすべきことは秘密にすることを守っています。
サンデの社会的活動の中で女性の割礼が行われていると広く信じられていますが、サンデの秘密主義は固く、部外者には簡単には明かされないため、この場で真偽を述べることはできません。
サンデソサエティへの少女の入会
農村部を中心に、女性は、モラルや家事、将来の家庭での立ち振る舞いなどを教えるために、サンデソサエティのブッシュスクールに入ることが伝統的な要件とされています。強制ではありませんが、サンデソサエティのメンバーではない女性は、サンデの活動に近づかないように、またサンデの活動の邪魔をしないように注意されます。さもないと、捕らえられ、強制的に入会させられます。
サンデのメンバーではない女性は友人に笑われることが多く、真っ当な女性とは見なされません。そのため農村部に住む大多数の少女たちは意欲的に入会します。
ブッシュスクールが開かれると、多くの親が意欲的に5歳から25歳までの少女たちを入会のために送り、必要な費用を払います。少数ながら、必要な費用を払えない、あるいは入会の準備ができていないなどの理由で、少女たちをブッシュスクールに送らない親はいます。しかし、入会した少女たちが戻ってきて、入会しなかった少女たちを嘲笑することへの恐れから、少女たちはしばしば自らブッシュスクールに強引に参加し、親が入会のために必要な費用を払わなければならない状況を作り出しています。
サンデソサエティには、その活動を統治するいくつかの規範があり、サンデの「ゾーイ」が少女たちの入会のためにブッシュスクールを開催したとき、これらの規範は非常に厳格になります。ゾーイとは、ポロソサエティ、サンデソサエティなどの秘密結社の管理者である男性、または女性のことです。規範のひとつは、非会員がブッシュスクールの開かれる秘密の森へ入ることを禁じており、会員ではない女性が故意または偶然にでも秘密の森に入った場合、その女性は入会しなければならず、入会に必要な費用を支払わなければなりません。男性にとって、サンデの秘密の森に入るのは故意か偶然かに関わらず非常に危険であり、それは「死の脅威」です。サンデは実際に人を殺めることはありませんが、死を引き起こすことを目的とした伝統儀式を行うこともあります。誤って秘密の森に入った男性に対しては、浄化するための伝統儀式が行われることがありますが、意図的に秘密の森に入った男性には、これらのスピリチュアルな力に対して、己の身を守ることしか選択肢はありません。
サンデの活動に関連した伝統儀式
サンデの活動が告知されると、ゾーイは「窓の期間(少女が入会のために秘密の森に入ることを許可する期間)」を設定します。入会したい少女は全員、「窓の期間」に入会しなければなりません。窓が閉じた後は、入会のために秘密の森に入ることは誰にも許されません。もし女性が違反して秘密の森の中に入ってしまった場合は、入会せずに戻ってくることはできず、罰金を支払うことになります。
サンデとは、女性を良い主婦に育て、良いモラルと規律を持つようにすることを目的とした結社であり、経済的利益を得るための学校ではありません。少女たちは、秘密の森に滞在している間の生活を維持するために必要なものを支払います。必要なものには、米、バケツ、桶、寝具、サンデが定めた小額の現金などがあります。
これら要件のすべてを支払い終えていない少女は、卒業する資格がなく支払うまで、ゾーイとともに秘密の森に滞在しなければなりません。滞在期間が延びた場合、少女の両親はゾーイの延長滞在のための費用を支払う責任を負います。
サンデの活動には、コミュニティでの入会期間中に行われる女性たちによる一連の劇や踊りがあります。伝統的には、女性たちは、地域の家々を回って歌や踊りを披露し、地域住民(男女とも)から現物や現金などの贈り物を受け取ります。禁止されているわけではないので、男性が踊りに参加することもあります。サンデは名誉ある伝統であり、この行事は地域のすべての人々が定期的に見たいと願うものであり、楽しみとなっています。
ブッシュスクールの卒業式
ウィズア村では、2019年11月、3ヶ月間の秘密の森滞在を経て、ゾーイにより卒業資格があると判断された少女達がブッシュスクールを卒業しました。ゾーイは、少女たちが両親のもとに戻される前の卒業式を企画しました。卒業式では、美しい伝統的な衣装に身を包み、歌を歌ったり、手を叩いたりする踊りを披露しました。ブッシュスクールの期間中、少女たちは、秘密の森から出てこないので、正式な学校には行っていません。彼女たちが入会後に一般の人の目に触れるのは、卒業式が最初の機会になります。
卒業式では、サンデソサエティの二人の踊る仮面が現れて、卒業生たちを秘密の森の中から村に連れてきます。仮面は村を練り歩き、踊り、多くの人から贈り物を集めます。この時彼らは攻撃的ではなく、写真を撮ることさえ許しています。
ゾーイたちは、65人の女の子を受け入れたことを口頭で報告し、65人全員が元気に卒業できたことをとても喜んでいました。報告に続いて、ゾーイたちは、彼らの両親に女の子を渡します。家族、友人、親族など関係者たちが卒業式を華やかに彩ってくれました。
結びに
リベリアに正式な学校がなかったはるか昔、リベリア人の文化的慣習の一つであるサンデソサエティは、少女に家事や家庭内の規律、法を守ることを教えるために存在しており、少女が成人になるための準備をするために利用されていました。サンデソサエティはリベリア社会の成長と発展に貢献し、そして貢献し続けており、リベリア人は自分たちの文化を誇りに思っています。しかし、都市部では意見が分かれています。西洋文化や教育が入ったことで、少女たちはサンデの他にも、成人の準備をし、生産性を高め、社会に有意義に貢献することを可能にするさまざまな機会に触れ合うことが可能になったために、サンデの意義が失われているという人がいます。その一方で、サンデソサエティはまだその価値を維持しており、またこの意義は恒久的に維持されなければならないと広く信じられているのです。
冒頭写真:サンデの踊る仮面とその取り巻き(ウィズア村で許可を得て撮影)