交通網整備はリベリアの発展を加速させる鍵となりうるか?

大規模な道路建設事業が進行するリベリア国内において、「交通網の整備は発展を加速させる鍵となりうるか」という問いを、近ごろ人々は頻繁に投げかけています。1847年の独立以来、リベリアは国民の暮らしをより豊かに発展させるべく取り組んできました。現在のエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領は23代目、初の女性大統領ですが、多くのリベリア国民は、過去の大統領の政策に対し裏切られたと感じています。このような落胆した人々の思いは、喫茶店のような人々が集まる場所において聞くことができます。

「わが国の大統領は我々のために何一つしてくれなかった。心から国のことを思っていないからだ。70年代には日本経済とリベリア経済は肩を並べていたが、今の日本経済と比べると、リベリアは完全に時代に乗り遅れてしまっている。その最たる理由は政治的腐敗だ。大統領たちにとってリベリアは彼らの農場にすぎず、アメリカを母国だと考えている。だからリベリアでは争いが絶えず、互いに殺し合いをしても、そこから教訓を得て反省することができないのだ。」これらがバスや喫茶店、娯楽施設など人々の集まるところで聞かれる声です。

首都モンロビアやその近郊の都市部の住民のほとんどが、高い生活費の負担に対して不満を募らせていますが、地方の住民は交通網の改善と平和な国家を望んでいます。そのような考えをもった国民は、交通網を整備することで国内の取引がより安価にできるようになると期待しています。目的地へより早く着くことが可能になり、状態の悪い道路でしばしば発生していた車両故障の回数が減ることにより、農家の人々がモンロビアやその他の地域に作物を輸送する際に、運転手から過大な料金を請求されることもなくなるだろうと期待されています。

複数の混在した国民の考えや感じ方について専門家たちは、これまでのリーダーは、国民がより暮らしやすくなるようなインフラ整備への取り組みを満足に行ってこなかったが、サーリーフ大統領政権下の道路プロジェクトは、多くの国民の記憶に残ることになるだろうという点で合意しています。中国ハイナン国際企業グループ(CHICO)は、モンロビアとリベリア北東部のギニア国境までの全長233.61kmの道路の舗装を行っています。モンロビア-バンガ間(165km)は、1億6,000万ドル(日本円にして約192億円)、バンガとリベリア・ギニア国境の町、ガンタ間(68.61km)は、7,090万ドル(日本円にして約85億円)と見積もられています。またモンロビアとその東に位置する港町のブキャナン間(91km)については、すでに修繕工事が完了し、首都の主要道路であるソマリア・ドライブ・ロード(ペインズヴィルのレッド・ライトからモンロビアのフリーポートを結ぶ)も改修が予定され、作業が進んでいます。

リベリアの道路整備計画
リベリアの道路整備計画

これらの舗装された道路を利用する人々は皆、大規模な道路プロジェクトに資金を出資したリベリア政府及び共同出資をした機関(EU、アイルランド国際開発協力庁、イギリス国際開発協力庁、スウェーデン国際開発協力庁、ノルウェー国際協力局)を賞賛することでしょう。農家や運転手を含めたビジネスマンもこのプロジェクトの恩恵を受け、政府に対し国内全ての主要道路を修繕し、地域間の移動をより円滑にして、ビジネスが行えるようになることを求めています。多くのリベリア国民は、交通網整備が国内の取引を加速させる要因になるということを強く認識しています。

A view of completed paved road on the Kakata- Gbarnga Highway修繕工事が完了した道路(カカタ-バンガ) Kakata - Gbarnga Highway completed road修繕工事が完了した道路(カカタ-バンガ)
A view of Kakata City, Margibi Countyカカタ市街地の様子(マギビ州) Entrance to Kakata, project may start in the dry seasonカカタ市街地への入口
-乾季になってから工事が始まる-
Freeman Reserve Town-Monrovia Kakata Highway修繕工事の様子 CHICO Workers on the newly paved road中国ハイナン国際企業グループの労働者たち

冒頭写真:リベリア国内の舗装されていない道路。このような道路が多いため、雨季の通行は困難である。