【2015年5月28日 ヴィッキー・ベイカー インデックス・オン・センサーシップ】
アンゴラ人ジャーナリストで、非営利団体インデックス・オン・センサーシップ(本部イギリス)の表現の自由賞の受賞者ラファエル・マルケス・デ・モライス氏に、2015年5月28日、アンゴラの首都ルアンダで懲役6か月執行猶予2年の判決が言い渡されました。1週間前に原告、被告、及び関係者の間で和解が成立していましたが、その和解が反故にされ今回の判決に至った模様です。
モライス氏は、アンゴラのダイヤモンド産業における人権侵害について記した2011年出版の著書で、数名の将官の名誉を傷つけたとして告訴されていました。2015年5月21日、モライス氏は著書の再版をしないこと、ジャーナリストとしての活動は継続するということで、すべての関係者が合意に至ったと思われました。
しかしながら、5月25日、検察はモライス氏の供述は罪の告白であり、彼に執行猶予の判決を受けるよう求めました。
判決の宣告の前に、モライス氏はインデックス・オン・センサーシップに対して、「検察は私の供述をでっちあげた。検察は、私が謝罪し、私が偽りの内容を書いたことを認めたと言った」と述べました。
和解したと思われた後、ルンダスの採掘地域で亡くなった犠牲者の母親を含むモライス氏の証人は法廷で発言する機会を与えられず、彼は「和解」は陰謀であったと考えています。
モライス氏は名誉毀損罪ではなく、悪意ある告訴により有罪にされたのです。モライス氏が自身の著書を通して、国際社会に意図的に偽りを公表したという、悪意ある罪状が3月の公判の初日に加えられました。
懲役6ヵ月執行猶予2年の判決に対し、モライス氏は上訴する予定です。
インデックス・オン・センサーシップ、アムネスティ・インターナショナル、ヒューマンライツ・ウォッチ、その他の国際NGOを含む50を超える個人/団体が、アンゴラ大統領ジョゼ・エドゥアルド・ドス・サントス氏に対し、モライス氏への判決とアンゴラの名誉毀損法の廃止を求める書簡に署名しました。
3月、裁判の始まる数日前、モライス氏はロンドンで開かれたインデックス・オン・センサーシップの表現の自由賞の授賞式に出席し、彼の勇気と懸命な探求を称えられ、ジャーナリズム賞を受賞しました。彼はスピーチの中で「私は極めて強大な力に立ち向かい、過去10 年間手掛けてきた調査を通じて、多くの犠牲者に発言の機会を与えたことを、誇りと名誉に思います」と述べました。
インデックス・オン・センサーシップのCEOジョディ・ギンズバーグは次のように発言しました。「私たちはラファエルが不条理な方法によって判決を受けたことに唖然としました。これは明らかに表現の自由の侵害であり、出版の自由と公平な裁判を受ける権利の侵害です。私たちは、彼の活動は極めて重要で、ラファエルのことだけでなく、このような事例が他の人々の自由な表現を抑止することを、非常に懸念しています。ラファエルは最近アンゴラの出版規制や警察権力による反政府団体の党員の虐殺の調査に取り組んでおり、今回の判決が彼の活動を制限することになることも懸念しています。」
※本記事は英国非営利団体「インデックス・オン・センサーシップ(Index on Censorship)」ホームページに掲載されたものをDFPにて翻訳したものです。
原文:「Angolan journalist Rafael Marques de Morais receives six-month suspended sentence」
写真:ジャーナリストおよび人権擁護活動家ラファエル・マルケス・デ・モライス氏 (Photo: Sean Gallagher/Index on Censorship)