2021年5月22日に発生したニーラゴンゴ火山の噴火により、コンゴ民主共和国(DRC)当局がさらなる火山噴火の危険性がある区域からの避難命令を出したため、東部ゴマに住む数千人の市民が避難しました。避難民の大半はゴマからブカヴへ191~193キロもの道のりを徒歩で避難しました。
ダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)は現地NGOのコンゴ盆地保全協会ネットワーク(CBCSネットワーク)と協力し、避難民20人とそのホストファミリーへ、当面の危機をしのぐのに必要な生活費として、対象世帯あたり20ドルの現金ならびに食料の支援を行いました。支援対象者には、他から何の援助も受けていない極めて困窮している家族が選ばれました。世帯主でありかつ妊娠中あるいは授乳中である女性や、月収10ドルに満たない低所得者のうち扶養家族が8人以上いるホストファミリーなどです。食料と現金の支給は2021年6月30日にブカヴにて行いました。
DFPが今回緊急支援を実施することを決めたのは、DRCがダイヤモンドを含む豊富な鉱物資源を持つ国であるからです。DRCには手掘り採掘権所有者が50万から100万人いると推定されています1。
支援受益者からのメッセージ
ブフカマ・ライリーさん
私はブフカマ・ライリー、31歳です。夫のイトングワ・エタボ・ライオネルと4人の子どもとブカヴに住んでいます。2021年5月27日、私たちはゴマから来た7人家族を受け入れました。女性と6人の子ども(男の子3人、女の子3人)です。夫が失業中の身とはいえ、彼らに家の外で過ごしてもらうわけにはいきませんから、私たちは避難してきた家族と何でも分け合わなければなりませんでした。自分たちの日常生活を維持していくのも大変困難な状況に陥ったのですが、CBCSとDFPが食料と現金を提供してくれました。他の団体では支援を得るのにお金を払わないとならないことがあるのですが、CBCSとDFPは無償で提供してくれたのです。支援を受けて、私たちは家族に必要な食料を十分まかなうことができましたし、現金支援を私は自分が手掛けている工芸事業の資金に回すこともできました。今私が身につけているようなサンダルやブレスレットなどを作り販売しています。
ノエラ・ムウェンゲさん
私の名前はノエラ・ムウェンゲ、9人家族で、噴火の被害を受けたゴマ市民です。私はずっと商いを営んでいましたが、ゴマ火山観測所が警報を発令し、軍政府長官がゴマからの避難命令を出したとき、すべての商業活動と収入源が断たれました。そしてここブカヴのホストファミリーの家で、私たち家族の非常に厳しい暮らしが始まりました。食べる物もなければ着る服もなく、家賃や医者にかかるためのお金もない状況だったのです。でもDFPとCBCSの支援のおかげで、子どもたちとホストファミリーの食料を手に入れることができました。また、私は現金支援によって小さいながらもドーナツを作って販売するビジネスを始め、この困難な状況の中、自分のわずかな蓄えを補填し家族を支えることができました。近いうちにゴマに戻り、可能であれば以前の商いを再開するつもりです。
終わりに
避難民全員を支援するのは困難ですが、限られた人数であっても彼らの避難生活の助けになっていれば幸いです。ダイヤモンド・フォー・ピースは、今後もダイヤモンド産出国で災害があった時には緊急支援を行っていきます。
冒頭写真:支援受益者たちとCBCSスタッフの集合写真(写真提供:CBCSネットワーク)
1 “DR Congo”, The Federal Institute for Geosciences and Natural Resources (Germany) https://www.bgr.bund.de/EN/Themen/Min_rohstoffe/CTC/Mineral-Certification-DRC/CTC_DRC_node_en.html