リベリアの「デコレーション・デイ」

3月、リベリアには2つの祝日があります。1つ目がデコレーション・デイ(3月の第2水曜日)、2つ目がJ.J.ロバーツ記念日(3月15日、リベリア初代大統領の誕生記念日)です。デコレーション・デイは、先祖を尊重して先祖の墓を飾る記念日ですが、お祝いの方法は様々あります。例えば、ある人は、お墓を飾りながら楽しくお祭り騒ぎをして過ごします。そのように、陽気な雰囲気でお祝いをする人のほとんどは、お酒を飲んで気分を高めています。一方で、亡くなった人々への悲しみを表して、しばしば泣きながら、霊歌を歌う人もいます。

悲しいことに、毎年この日は、多くの墓地で参加者同士の暴力を伴う争いが目立ちます。このような争いの多くは、一つの墓について複数の家族が持ち主であると主張したときに起こります。特に今はエボラウイルス病の大流行の記憶がまだ鮮明であり、人々の間でこのような醜い争いを最小限に食い止めるために、リベリア警察当局は2015年のデコレーション・デイ当日、国内にある複数の墓地に警官を配備しました。わずかに騒動が報告されましたが、警察がなんとか状況を収拾することに成功したので、手に負えない事態に発展することはありませんでした。

面白いことに、泣いたり、楽しんだりしながらお墓を装飾している人々がいる一方で、ビジネスマンの中にはこの機会を商売に利用しようとする人がしばしば見受けられます。墓地の一部が実質的には市場となっているのです。彼らは果物や飲み物、お墓を塗装するためのペンキ、カットラス(農耕用のナタ)など様々な商品を売っています。

特筆すべきは、今年のデコレーション・デイが、エボラウイルス病によって亡くなった人々の遺体が眠る多くの墓も含めて、リベリア政府や人道支援団体、また亡くなった人の家族が追悼をしたことにより、今までとは違った新しい形でお墓の装飾をすることになったということです。それはとても見るに忍びない悲しい光景でしたが、その状況に対して誰もどうすることもできなかったのです。リベリアの人々がこれからすべきは、この悲惨な状況を互いが結束する機会とし、潜在的な被害を食い止めるべく戦うことです。

 

National decoration day 2
ペンキを塗られ装飾されたお墓

写真:サミュエル・G・コリンズ