(世界銀行グループ等による調査報告書より内容抜粋)
リベリアにおけるエボラウイルス感染者数は7,797人、3,290人の尊い命が奪われました(2014年12月9日現在)。感染の多くは、貧しく人口の密集している首都モンロビアからの発生でしたが、リベリアの全ての州からエボラウイルス病患者は発生しています。
エボラウイルス病による家計への影響について、リベリア政府統計局、世界銀行らは携帯電話を用いた調査を2014年10月と11月に実施しました。調査によると、エボラウイルス病による影響は全ての労働セクターにまたがっており、エボラウイルス病の感染拡大以降、リベリアの労働人口の半数が仕事に従事していません。
自営業者への影響は大きく、特に都市部ではマーケットの閉鎖による影響が深刻です。エボラ危機以前は、家計ベースの試算では労働人口の30%以上が自営業者でしたが、現在では10%と大幅に減少しています。またリベリアにおける自営業者の特徴として、その2/3が女性であることが挙げられます。
賃金労働者においても調査時点での失業は顕著であり、エボラ危機以前と比べ、就業人口は半数にとどまっています。失業の主な理由は、雇用先である会社や役所の閉鎖であり、本人の病気や家族・親戚の看病のために失業しているものはわずかでした。
エボラ危機以降、最も回復が早かったのは農業セクターでした。地方においては、すでに多くの人々が農業に従事しており、調査時がちょうど収穫の時期と重なっていたことも関連しています。
食料安全保障、食料価格の上昇という観点から、エボラは深刻な影響を及ぼしています。輸入米の価格は、例年に比べ40%も跳ね上がり、また価格の上昇に関わらず、回答者の70%が十分な食料を買うためのお金がないとしています。多くの家庭において、1日の食事回数を減らす、子どもに与えるために大人の食事量を減らす等しています。また回答者の90%以上が、家庭において十分な食べ物がないと感じています。農業作物の収穫後、この数字はいくらか改善するものと考えられますが、依然として注意を要します。
リベリアにおける新規感染者数は減少傾向が見られるものの、政府のエボラ封圧のための様々な政策(マーケットの閉鎖等)により、エボラウイルス病への感染の有無を問わず、経済的悪影響はリベリアの全土に及んでいます。そのため、今後の支援は感染者が多く発生した地域のみならず、もともと貧しかった上に、エボラの影響により更なる困窮を極めているような地域への支援も必要となっています。
※本レポートは世界銀行グループ等による調査報告書 “The Socio-Economic Impacts of Ebola in Liberia” ( http://www.worldbank.org/content/dam/Worldbank/document/Poverty%20documents/Socio-Economic%20Impact%20of%2 0Ebola%20on%20Households%20in%20Liberia%20%28final%29.pdf)より抜粋した内容を DFP にて翻訳・加工したものです。