2014年に米国開発庁(USAID)及びEUがコートジボワールで開始したPRADDIIプロジェクト(土地所有権及びダイヤモンド零細採掘開発プロジェクト)が2015年1月に開催したダイヤモンド採掘地域視察及びワークショップに招待されたため、当団体の代表理事村上が参加しました。
PRADDIIプロジェクトは、コートジボワールが内戦中下されていたダイヤモンド禁輸措置が2014年4月に解除されたため、
1) 紛争ダイヤモンド原石の流通を予防するキンバリープロセスを遵守する活動の推進、
2) ダイヤモンド零細採掘開発をめざし、USAIDとEUが共同出資して開始したプロジェクトです。
コートジボワール
1. コートジボワール セゲラ県 零細採掘労働者組合視察
西アフリカにはほとんど存在しない、ダイヤモンド採掘労働者が組合化されている県を視察しました。
セゲラ県
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〈セゲラ県の組合の特徴〉
・組合の前身は、GVCという村の開発委員会である。
・国営ダイヤモンド公社SODEMIがGVCの機能に着目し、村毎に存在していたGVCを組合化させた。
・SODEMIの役割であるダイヤモンド採掘を、組合に委託する形で、組合はダイヤモンド採掘を実施している。
〈販売〉
・ダイヤモンドを発見した場合、村の会場に仲介人を呼び、公開オークションが行われる。交渉の過程を透明化するため、複数人が必ず交渉の場に同席する。
・仲介人への販売価格を100とすると、20が組合に、80が土地所有者及び採掘労働者チームに分配される。
〈村の開発事業〉
・組合加入者全員が集まり、実施する事業と優先順位を事前に決める。これまでに実施したのは、村のモスク建設、学校建設、水道塔建設など。
・現在複数のプロジェクトが同時進行中。
・できるだけプロジェクトの費用を抑えるため、工事に必要な人員は自分たちで補っている。
・ダイヤモンドを販売しお金が入ったら、進行中プロジェクトに必要な材料をすぐに購入する。買える時に買えるだけ購入し、口座にお金を貯めない(貯めて誰かが横領するのを防ぐ目的だと推測)。
〈入会の条件と弊害〉
・組合に入るには先住民であることが条件である。信頼関係を築くにはよいが、弊害もある。
・弊害の例:組合の中の力関係=村に既に存在する先住民の力関係。もともと力を持っている人の力がより強くなってしまう。女性など、力を持っていない人々の声を反映することが難しい。
・ダイヤモンドを販売した利益の一部が、村の発展のための事業(学校建設等)に使われ、村人全員が恩恵を受ける。そのため、村人は採掘に関わっていなくても組合員となっている。
〈その他〉
・村人は95%がイスラム教信者。
・ダイヤモンドだけに関わらず、組合員は農作物や木も所有する。
2. 「コートジボワールのダイヤモンド零細採掘を、透明性ある生産的なバリューチェーンにするためのワークショップ」
採掘地域の視察後、首都のそばでワークショップが開催されました。主な参加者は、以下のとおり。
・PRADDIIプロジェクト関係者
・コートジボワール政府関係者
・コートジボワールのダイヤモンド業界関係者(輸出業者、仲買人、採掘者)
・アメリカ、カナダ、日本でダイヤモンド零細採掘支援に関わっている企業、団体、NGO
・独国際協力公社(GIZ)
・起業家支援をしている欧米NGO
PRADDIIプロジェクト側から、10の革新的なアイディアについての発表、参加者によるディスカッションが行われました。
PRADDIIプロジェクトはまだ始まったばかりですが、業界の既存慣習にとらわれず新しい取り組みをしていきたい意向です。
当団体は隣国リベリアでの活動を予定しているため、広域で取り組んだ方がより効果があがる活動については、PRADDIIプロジェクトや今回知り合った団体と積極的に協力しながら進めていく予定です。
<禁輸措置が意味すること> 国が戦争/内戦状態下にあり、ダイヤモンドを販売した資金が反政府軍の資金となっている可能性がある場合、国連はその国からのダイヤモンド輸出を禁止します(禁輸措置)。 禁輸措置が取られている場合、本当にダイヤモンドの輸出は停止しているのでしょうか? 答えはNO! コートジボワール内戦中に採掘されたダイヤモンドは、近隣諸国(マリ、ブルキナファソ等)から来た仲買人が買っていたそうです。つまり、彼らが自国に密輸し、自国で採掘されたダイヤモンドとして海外に輸出していたということを意味しています。 「禁輸措置=公式には輸出していない」という意味で、密輸を止められるわけではないのです。 |
セゲラの市場で出逢った女性たち