【2013年2 月11日ダカール=ジェニファー・ラズタ(ヴォイス・オブ・アメリカ)】
リベリアでは、ダイヤモンドを採掘するため学校を去る子どもたちが増加しており、政府は子どもたちの違法雇用を取り締まろうとしています。
15歳のマイク=コールマンは5ヶ月前に学校を退学し、ダイヤモンドを求めてリベリア西部へと移りました。
“僕の両親はいろいろと大変だからね。お金が欲しくてここへ来たんだ。二人は僕が学校をやめるとき、とても申し訳なさそうにしていたよ。でも僕には他に選ぶ道がなかった。僕はここへよりよい未来を探しにやってきたんだ。早くダイヤモンドが見つかるといいな。”
このような子どもはコールマンだけではありません。リベリアの土地・鉱物・エネルギー省は、少なくとも1500人の子どもたちがダイヤモンド鉱山で雇われていると推定しています。
リベリア西部にあるモプ中学校の校長ノラ=クアエは、ダイヤモンドの採掘現場で働くために200人以上の生徒が今年学校をやめてしまったと言います。
――――私たちの生徒の半数が学校を退学しました。彼らはもう教室には来ないのです……。これは異常な状況です。リベリアの未来は子どもたちに懸かっています。子どもたちは学校に行く理由を理解し、彼ら自身の未来のために備えなければならないのです。
ダイヤモンド鉱山で働くことは危険かつ困難です。儲かる仕事でもありますが。
リベリアの失業率は85%近く、世界銀行の推定では、人口の95%が一日2米ドル以下の生活を送っています。ダイヤモンド一つで50米ドルの稼ぎが見込める現状では、人々がダイヤモンド採掘を断る理由はないのです。
ダイヤモンド鉱山では18歳以下の労働は禁止されていますが、多くの雇用主は喜んで子どもたちを雇います。なぜなら彼らの小さな体は鉱山内部の狭い空間や窮屈なトンネルに適しているからです。
リベリア西部で採掘会社を経営しているトーマス=ウレは言います。“労働者は労働者。年齢は関係ない。”
――――私たちは彼らを無理やり働かせているわけではない。彼らは自ら私の会社を訪れて契約書にサインをする。私はダイヤモンドを探せる者なら誰でも雇う。政府は生徒が学校に留まるよう法律を作るべきだろう。私たち企業は利益を上げるためにここにいる。
リベリアの内戦が激化する中で、国連安全保障理事会は2001年、リベリアの「血塗られたダイヤモンド」の採掘と輸出を禁止する決議を採択。
これにより採掘現場で働く子どもの数は減少しました。
しかし、エレン=ジョンソン=サーリーフ大統領就任後の2007年、国連はこの決議を解禁し、ダイヤモンド鉱山は再び繁栄の時を迎え、それとともに若い労働者の需要が増えました。
リベリアの国会議員ゲートルード=ラミンは、リベリアの若者たちは、自らの意志でダイヤモンド鉱山から出て、国の無料教育システムを利用するべきだと言います。
――――ダイヤモンド採掘には未来はない。いったい採掘から何を得るだろう?その日暮らしの金を稼いだとしても、子どもたちの未来は明日ではない。リベリアの学生諸君、君たちに必要なのは家に帰って学校に行くことだ。君たちは鉱山を出なければならない。君たちの生きる明日は、君たちを前進させない無意味なものなのだ。
リベリア土地・鉱物・エネルギー省西部地域調整官のステファン=バナは、リベリア政府は、鉱山で子どもたちが違法に働いている現実を知るべきだと言っています。“政府は子どもに違法労働させている採掘会社に対し、採掘権の剥奪、鉱山の閉鎖などの法的措置を取ると脅しましたが、実際に罰せられた鉱山は一つもありません。”
※本記事は米国メディア「Voice of America」ホームページに掲載されたものをDFPにて翻訳したものです。
原文:「Liberian Children Quitting School to Mine Diamonds」
http://www.voanews.com/content/Liberian-children-quitting-school-to-mine-diamond/1601253.html(2015年5月2日閲覧)
冒頭写真:ダイヤモンド採掘場で働く13歳の少年(写真左)シエラレオネ、コノ県 (写真はイメージです)。Photo by Chie Murakami