横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)の最終日、公式サイドイベント「西アフリカの手掘りダイヤモンド採掘に関するシンポジウム」を開催しました。会場には日本やアフリカの政府関係者、国際協力関係者、民間企業関係者、ジュエラーの方々など会場が満席になる程の多くの方にお越しいただきました。
シンポジウムは、東京外国語大学の修士課程に在籍するシエラレオネ人留学生ウス・コンテさんによるシエラレオネの紹介で始まり、伊勢崎賢治東京外国語大学教授による2000年代はじめの内戦前後のご自身の経験を通したシエラレオネの説明、その後当団体代表村上より西アフリカの手掘りダイヤモンド採掘の状況の報告、そしてドキュメンタリー短編映画「ダイヤモンドの来た道」を鑑賞しました。
ウスさんによるシエラレオネの説明
ウスさんによるシエラレオネの手掘りダイヤモンドセクターに関する説明
シンポジウム後半では、伊藤武志大阪大学教授の進行のもと、来場者とともに手掘りダイヤモンドセクターの改善策について話し合いました。手掘りダイヤモンド採掘は、人権侵害・労働問題・環境破壊等、多くの課題を抱えています。来場者の方々からは、改善策として、採掘労働者や未来を担う子どもたちへの教育の実施、汚職を減らすためのガバナンスの強化、採掘以外の生計手段の確立、日本で消費者として、自らが責任を持った倫理的な買い物の選択を行うといった意見が聞かれました。
挙げられたコメントや改善策案を、いくつかそのままご紹介します。
・フェアにダイヤを購入、もしくは労働者をサポートするためにはどうアクションをとればよいのか?
・手掘りの採掘後の土地が元に戻らないのとの話で、今後の環境への影響がとても憂慮されました。
・地域の人が持つべき権利をもっと教育して、現在の貧富を覆さなければならないと思った。地域の人だけに任せていいのか?とも思う。
・ダイヤモンド以外の産業も成長させる。(汚職の資金源を断つ、生活の収入源)
・最終的にダイヤモンドを扱う会社がよりその前の段階に介入する。政府に対しても納税分がコミュニティに還元されていなければ購入しない(できない)など。
・どこの市場の人たちも、お互いの状況を知らないように感じた。とくにアントワープ市場。取引業者などお互いの情報をまず知る事が必要。世の中にこの不当労働があることを、知らせることが必要。
・地域住民が共同出資し採掘権を取得することは難しいのでしょうか?
・私たちは職人としてダイヤモンドを取り扱います。正直複雑すぎてどのようにすべきなのか何も言えない思いがあります。目に映る事からひとつひとつできる事を進めて行きたい。
シエラレオネ人のウスさんはどのように考えているのでしょう?下の動画をご覧ください。
シンポジウム後の会場では、様々な分野で奮闘・ご活躍中の方々にもお声掛けいただきました。現状の改善は一朝一夕にできることではありませんが、問題が大きいからといって足踏みしていては何も変わりません。様々な方法を試み、失敗しながらも改善に向けて動いていこうという気持ちを新たにしたシンポジウム開催でした。
冒頭写真:シンポジウム来場者から寄せられた手掘りダイヤモンドセクターの改善策