手掘りダイヤモンド採掘労働者を対象としたインタビュー

執筆者:ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリア スタッフ

はじめに

ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアは、たくさんの人々と連携し活動していますが、主に関わっているのは手掘りダイヤモンド採掘権所有者と採掘労働者です。採掘権所有者は自身で採掘権を有し、採掘をする人のことで、採掘労働者は採掘権所有者の下でダイヤモンドを採掘する人のことを言います。立場の異なる両者の抱える問題は異なる一方で、共通の問題点もあります。両者ともにダイヤモンドの売り上げについて資金提供者から搾取されていると感じています。さらに採掘労働者は、彼らの労働に対して公平な資金援助を受けておらず、ダイヤモンドの売り上げについて大部分の分け前を得ているのは採掘権所有者であると不満を感じています。このような状況から、私たちは採掘権所有者と採掘労働者に分け、それぞれに情報収集を行うことが賢明であると考えました。採掘権所有者へのインタビューは既に実施していたので、今回は採掘労働者を対象にインタビューを行いました。

すべての事業において、事業実施前のデータは事業終了時にその成果を計る基準となります。今回のインタビューの目的は、事業の実施中及び実施後に、活動の成果を評価するために必要な情報を収集することです。

調査対象者

私たちが行う事業において、ダイヤモンドの手掘り採掘労働者は不可欠な存在であり、今回のインタビューでは採掘労働者のみを対象としました。ウィズア村には150人以上の採掘労働者がいます。ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアは、採掘権所有者および採掘労働者組織の代表者の所属する組合と採掘労働者の所属する組合の下部組織と共に活動をしていますが、今回のインタビューは組合の下部組織に所属する採掘労働者を対象に行うことにしました。ウィズア村の採掘労働者組織のメンバーは、共同で問題に対処し、自立するための活動を行っています。現在は、49名が組織に登録しています。

インタビューの重要性

ダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアのスタッフは2019年6月3日から6日までウィズア村を訪れ、採掘労働者組織に所属するメンバー2人と共にインタビューを実施しました。スタッフは、2人に対して、情報収集の実施方針について説明しました。

インタビューでは、採掘労働者一人ひとりに情報収集の目的と重要性について説明しました。情報収集は採掘労働者の現在の生活状況や労働環境を評価するために実施され、聴取された情報は事業終了時に目標を達成できたかどうか測定するために用いられることを説明しました。対象者には率直な回答を求め、また提供された個人情報を名前とともに公開することはないと約束しました。このような説明を行うことは非常に重要で、対象者にインタビューの重要性について明確なイメージを持ってもらうことにつながり、結果として、対象者は彼らの仕事や置かれている状況について自由に、また率直に答えてくれました。

インタビューの様子(写真右側がダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアスタッフ)

インタビューに対する採掘労働者の反応

採掘労働者は私たちを歓迎し、喜んでインタビューに応じてくれました。彼らはこのインタビューを、事業を成功へ導くための過程の一つと考え、時間を割いてくれたのです。彼らは自分たちが、ダイヤモンドの手掘り採掘において最も冷遇されたグループであり、その権利は軽視され、採掘権所有者や資金提供者から尊重されていないと感じています。そして何よりも問題なのは、彼らは採掘権所有者とのダイヤモンドの共同販売において、受け取る分け前が不公平であると感じています。

インタビューに応じた採掘労働者は、私たちを彼らの支援者であると考えてくれたため、このインタビューに協力してくれているのです。

インタビューの様子

最後に

一般的に、インタビューの質問が対象者の生活状況に及ぶと、対象者は、彼らに不足している生活必需品を供給することがインタビューの目的だと勘違いし、誤解を招く回答をする場面が多くみられます。事業開始前の情報収集において正しい情報が得られない場合、事業の成否を計ることは難しくなります。しかし、今回のインタビューでは採掘労働者はその目的と重要性を理解し、また、個人情報が名前とともに公表されることはないと約束されたため、自由に回答し、協力してくれました。

最後になりましたが、調査の成功に尽力してくれた採掘労働者組織の二名に感謝の意を表します。

 

冒頭写真:ウィズア村の採掘労働者のリーダーとダイヤモンド・フォー・ピース・リベリアスタッフ(写真左から二人目)の打ち合わせの様子