バポル州ベレクパラムの様子

リベリアからこんにちは。代表理事の村上です。
10月24日に日本を発ち、コートジボワール経由で10月26日からリベリアに来ています。

今回の目的は、採掘労働者自立支援プロジェクトを設計するための現地調査です。

先週は首都モンロビアから車で約2時間のところにあるテイラーズ・ファーム、今週は舗装されていない道を約6時間行ったところにある、ベレクパラムというダイヤモンド採掘地域を訪問しました。

道中の様子

途中、岩だらけの丘に来ると車から降ろされ、徒歩で丘を越えます。日差しが痛い。
岩の丘

丘を越えた時の美しい風景。
バポル風景

ぬかるんだ道でバッテリーがあがってしまい2時間ここにいたという車に遭遇しました。私達の車のバッテリーを使ったところ、エンジンがかかるように!
バポル

州境や地区の境界にチェックポイントがあり、毎回パスポートや鉱山省が発行したレターをチェックされます。あるチェックポイントでは、陸続きのシエラレオネから入って来て不法に採掘をしていた人が捕まっていました。そこにいた担当官の話では、違法採掘及び密輸が大きな問題とのこと。不法に採掘されたり密輸されると、現地に全くお金が落ちず、不法行為を働く人が全ての利益を享受することになるからです。

ベレクパラム採掘地域

現地に到着したのは夕方。現地の人の家に泊まらせてもらうことになり、部屋を確保(女性3人で1つのベッド!)し、町の責任者や採掘関係者に調査の説明をし、翌日インタビューする採掘労働者やその家族を選ぶためのくじ引きを行いました。

調査の際のインタビューは、偏った情報の入手を避けるため、ランダムサンプリング(無作為抽出)という方法を用います。現地の人々にとって理解するのが難しかったのが、調査の目的とランダムサンプリングでした。

今回の調査の目的は、来年度開始を目指している手掘り採掘労働者自立支援プロジェクトのプロジェクト内容を設計することです。私達は採掘そのものに興味があるのではなく、採掘をしている労働者・その家族の労働状況や生活状況を知るために現地調査をしています。しかし、外部からベレクパラムを訪れる人は採掘自体に興味があり、採掘で儲けようと思っている人ばかりです。そのため、私達が「プロジェクトを設計するために、労働状況や生活状況を知ることが目的」と言うと、その時は「わかった」と言ってくれるのですが、しばらくすると「何でインタビューしてるんだっけ?」と聞かれることがよくありました。また、私達の調査目的を信じない人もいました。

この国では誰かから情報を得る必要がある場合、通常、そこの有力者が「Aさん、Bさん、Cさんと話しなさい」と話す相手を指定します。指定するということは、そこに何らかの意図が働いているので、その意図をできるだけ排除するために私達はランダムサンプリングをしたいのです。しかし、現地の関係者はランダムサンプリングを見たことも聞いたこともなかったので、なかなか理解できませんでした。プロジェクトの内容を検討するには、現場の生の状況を理解することが重要なので無作為にインタビュー相手を選ぶ必要があることを説明し、くじ引きのくじを引いてもらうことで関係者にサンプリングの過程に参加してもらい、最後には理解して頂きました。

バリューチェーンの一番末端で苦労している採掘労働者にとっては、今まで誰かが自分達の状況に興味をもってくれる経験がなかったため、話を聞いてもらうのは嬉しいことだったようです。末端の労働者は、1日2食提供されるだけで賃金をもらっていません。お金はダイヤモンドが見つかった時だけもらえます。ダイヤモンド採掘は、「これだけ掘ればダイヤが見つかる」というものではないので、非常に不安定な仕事です。また、雇い主の都合により、「明日から来なくていい」と言われたり、病気になった時に面倒をみてもらえないなど、最低限の生活も保障されていないことが浮き彫りになりました。

インタビューの様子
インタビューの様子

熱帯雨林の中を30分程歩き、未知の虫に刺されたりしながら、採掘現場に行きます。
リベリア熱帯雨林

採掘現場の様子。ベレクパラムの森の中にはこのような採掘現場があちこちにあります。採掘労働者人口は約千人。
ベレクパラム採掘現場

ベレクパラム採掘現場

インタビューでは、生活が苦しい、ダイヤモンドの取引価格を知らない、不安定な仕事、フェアでないなど、様々な状況・問題が語られましたが、その根本的な理由は次の点に要約できると感じました。

1) 密室での取引や意思決定:

採掘権を持つ採掘者または採掘チームの食料等を提供するサポーターが、ダイヤモンドをブローカー(仲買人)に販売します。販売は密室で行われます。販売後、採掘者は自分が雇っている労働者に「(例)このダイヤモンドは1000ドルだった」と言い、分け前を労働者に与えます。しかし、本当に1000ドルの取引だったのかどうか、労働者は知ることができません。そのため、分け前が公平・不公平か判断することができず、不当な低い金額しかもらえていないと感じるため、労働者は雇い主に対して疑念を抱いています。

意思決定についても同様で、末端の労働者が何かの意思決定の過程に参加したり、その様子を見ることはできません。汚職がはびこっているという理由もあり、意思決定に参加していない(見ていない)人々の想像はどんどんふくらみ、不満や疑いを持つようになります。

2) 記録の欠如:

話し合いや取引において、記録をつける習慣がありません。すべてが口承のため、言った言わないになったり、約束を反故にされたり、取引を証明することができず、お互いを信頼することが困難な状況です。

立ち上がった労働者

このような状況でありながらも、ベレクパラムで素晴らしいと思ったのは、3年前に労働者としてやってきて、労働者が受けている暴力などのひどい仕打ちをみて、「何とかしなければ」と立ち上がった人がいることです。彼は末端の労働者を組織化するため、地域の採掘担当官、タウンチーフ(町長)等の有力者に働きかけ同意を取り付け、採掘労働者グループを立ち上げました。

立ち上げただけでなく、グループの代表を決める選挙を呼びかけ、実行した点は尊敬に値します。民主主義がまだきちんと根づいていないこの国で、民主的なプロセスを実行するのは大変なことだったでしょう。立ち上げてから3年の努力の成果で、採掘労働者への一方的な暴力はほとんどなくなったとのこと。

私達が現地にいる間、彼が自主的に私達を労働者・その家族・採掘現場に案内してくれました。町の全員を知っていて、みんなから頼りにされていることがよくわかります。また、部族毎のグループを組織するよう働きかけたりと、人々を動員する能力に長けている彼の次の目標は、大学に戻って勉強することだそうです。

採掘労働者グループのリーダー
採掘労働者グループのリーダー

ベレクパラムでは、住民による学校建設プロジェクトが進行中。現在、教会を学校として使っているため、住民達がお金と労働力を出し合い建設しています。
建設中の小学校

現在の学校の課題は、6学年を2人の先生で教えていることだと校長先生が話してくれました。私達が訪問した時、もう一人の先生はお休みだったそうで、先生は一人でした。課題は山積みですが、自分達ができることを一つずつしている姿に感銘を受けました。

来週はグランドケープマウント州に行ってきます!

冒頭写真:お昼休みの子ども達が私達を見送ってくれた様子

 

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