リベリア採掘産業透明性イニシアティブ(LEITI)と零細採掘労働者について

リベリア採掘産業透明性イニシアティブ(Liberia Extractive Industries Transparency Initiative: LEITI)[i]の任務は、採掘産業部門の透明性を高めることです。

リベリアは2009年にカタールのドーハで開催された第4回EITI閣僚級会合で「EITI実施国賞」を受賞しました。EITI国際事務局長のピーター・アイゲン氏はリベリア初の女性大統領であるエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領にEITI実施国賞を授与しました。授与時、アイゲン事務局長はリベリアの先駆的な功績を賞賛した上で、関係者の積極的な参加にも言及しました。

しかしながら、2009年のLEITI設立以降、採掘産業部門における零細採掘労働者は、LEITIで直接管理されていないようです。そのため、LEITIの活動は多くの矛盾を抱えています。

LEITIの報告では、零細採掘労働者による採掘量などの数値はたびたび財務・開発計画省から発表されています。たとえば、LEITIの第4回および第5回の報告では、2010-11年度の全採掘部門は4,422万3,679米ドル12セント(約55億円)、2011-12年度は5,696万1,468米ドル(約70億円)の歳入がありました。それらの報告によると、零細採掘労働者は各年度で合計41万6,057米ドル30セント(約5,150万円)と75万6,950米ドル(約9,370万円 )の歳入に貢献したといいます。一方で、この数値は、財務・開発計画省からの報告のみに頼っており、LEITIはこの数値が本当に正しいのかを確認することができないのが現状です。

そこで、LEITIの取り組みとリベリア政府の活動との間の格差を埋め、バランスを維持するために、LEITIは土地・鉱物・エネルギー省と協力して、ボン州のバンガ市、グランド・ジデ州のズウェドル市で講習会を実施しました。その講習会には、ダイヤモンドや金の零細採掘労働者、採掘業者、その他の支援者が集まり、問題点に対して平和的な解決策を探りました。リベリアの15州のうち10州の代表者は2015年4月22日にバンガ市で、残りの5州の代表者は4月24日にズウェドル市で集まりました。

LEITI事務局長のコナ・D・カーモ氏はプレゼンテーションの中で、採掘産業における零細採掘労働者の重要性を強調しました。零細採掘労働者に対して、常に土地・鉱物・エネルギー省への賃金支払い明細をコピーするように促しました。さらに零細労働者に対して、各地区のLEITIの担当者に支払い明細のコピーを提出するよう忠告しました。

講習会の目的は達成されました。零細採掘労働者は講習会での提案を快く受け入れ、自分たちの存在に目を向けてくれたLEITI事務局に感謝しました。また、彼らはリベリア国民のためにLEITIの報告プロセスの達成に向けて州レベルで全面的に同意すると約束しました。講習会は終了し、次回LEITIがそのプロセスの完全な履行を報告してくれることを誰もが期待しています。

 

[i]採掘産業透明性イニシアティブ(Extractive Industries Transparency Initiative:EITI)とは,金、ダイヤモンド、石油・ガス・鉱物資源等の開発にかかわる、いわゆる採掘産業から資源産出国政府への資金の流れの透明性を高めることを通じて,腐敗や紛争を予防し,もって成長と貧困削減に繋がる責任ある資源開発を促進するという多国間協力の枠組み。詳細について以下を参照(外務省は「採取産業」としているが、DFPでは「採掘産業」とする)。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/commodity/eiti.html