モーニングスター・キリスト教学校 インタビュー

ダイヤモンド・フォー・ピース(DFP)は、リベリアのエボラウイルス病緊急支援活動の中で、首都モンロビア近郊にある9つの学校へ、体温計や石けんなどの衛生用品の配布を行ってきました。モーニングスター・キリスト教学校は、DFPが支援した学校の中でも、エボラによる被害が大きい地域にある学校のひとつです。

ペインスヴィル
モーニングスター・キリスト教学校があるペインスヴィル(出典:Google)

2016年2月、DFPコーディネーターが学校を訪問し、校長と生徒に対してインタビューを行いました。

校長先生へのインタビュー

フロモ校長先生
フロモ校長先生

DFPコーディネーター:まず貴学について簡単に教えてください。どのような形で設立されたのでしょうか。

フロモ校長:モーニングスター・キリスト教学校設立以前は、学校のある時間でも多くの子どもたちが、地区をほっつき歩いていました。なぜなら、多くの親や保護者は、経済的余裕がないため、子どもを学校に通わせることができなかったからです。モーニングスター・キリスト教学校は、そのような子どもたちのために、G.S.Aロード教会の支援の下、2009年9月に設立されました。

私は、この学校の3代目の校長です。前任の方々は、ここでの給料に満足できなかったようです。私が月に25米ドル(日本円に換算して、約2,500円)にも満たない報酬しか得ていないと言っても、なかなか信じてもらえないでしょう。前任者たちは、この学校が設立された意義というものを十分に認識していなかったのだと思います。

DFPコーディネーター:公立の学校ならば、無償で教育が受けられると聞いていますが、近くの公立の学校に通うわけにはいかないのでしょうか。

フロモ校長:たしかに公立ならば小・中学生は無償で授業が受けられます。しかし、この地域には、通える距離に公立の学校がないのです。さらに、公立の学校は常に満員です。ほとんどの地域の公立学校が、子どもたち全員を受け入れるだけの余裕がありません。椅子の数も足りないという声さえ耳にします。自分で椅子を用意する子もいるようです。

DFPコーディネーター:あなたがこの校長になられた経緯を教えてください。

フロモ校長:G.S.Aロード教会の代表の方から私を含め、数名のメンバーに声がかかり、この地域の子どもたちのために力を貸してもらえないかと依頼を受けました。はじめは自分の家族のこともあり、ためらいもありました。ですが、すぐに神に仕える方のお話を無下に断るわけにはいかないと思い直しました。私は元は教師でした。そして現在、リベリア大学で英語と公共政策を学んでいます。この仕事こそが教師という私の天命を全うするための道であると思ったのです。そういうわけで、この学校の校長になることを決意しました。2012年8月のことでした。

DFPコーディネーター:この学校の校長に着任以来、どのようなことをなさってきたのか、教えていただけますか。

フロモ校長:私が校長、そして教員として着任当初、この学校は完全に機能が停止し、ひとりの生徒もいませんでした。親や保護者に対して、子どもを我が校に通わせることを促すために、私たちは2年間授業料を無償にすることにしました。これはとんでもない無茶でしたが、お陰で今では120名の生徒がいます。生徒数が徐々に増えるに従い、学年も第3学年までだったのを、段階的に第7学年まで増やしました。

DFPコーディネーター:今後の展望をお聞かせください。

フロモ校長:今後さらに発展して高等学校としての承認を得て、さらなる学習環境の整備につなげていきたいと思います。これには、同じ目標を持つ教会のメンバー、地域住民、教員たちが一丸となって努力していくことが必要です。

DFPコーディネーター:その目標に向かって共に戦ってくれる仲間はいますか。

フロモ校長:はい、熱心な教員たちに恵まれ、大変感謝しています。先ほども申し上げたように、教会の代表が私以外にも、この仕事に携わってくれそうな人に声をかけて下さいました。彼らは本当によくやってくれています。現在は男性2名、女性3名、計5人の教員がいます。男性2名と女性1名はリベリア大学の4年生の学生です。残りの女性2名は高校を卒業した人です。

DFPコーディネーター:何か課題はありますか。

フロモ校長:私たち教員は、この地域の子どもたちのために呼び集められたものの、教材など、教育に必要な物資が十分に得られないという問題があります。校舎を見てください。安心して学べる環境にするには、全体を改装する必要があります。また、図書、文具も必要ですし、学校運営のための資金も必要です。また子どもたちは、教科書、ノート、制服、靴、授業料が必要です。

DFPコーディネーター:最後に一言お願いします。

フロモ校長:まず、あなたをここにお導き下さいましたことを神に感謝申し上げます。そしてDFPの皆さんにご支援いただき、こうして話をさせていただく機会をいただいたことに感謝を申し上げます。多くの人々や人権団体、政府や機関の方々に我々のことを知っていただき、ご支援をいただけるきっかけになれば幸いです。きちんとした教育が提供されれば、この子どもたちがリベリアを、ひいてはこの世界を変えていってくれる日も遠くないと思います。

児童と教員達(エボラ緊急支援活動時に撮影)
児童と教員達(エボラウイルス病緊急支援活動時に撮影)

デイビッド君へのインタビュー

DFPコーディネーター:どこのクラスですか?

デイビッド君
デイビッド君

デイビッド君:ABCクラス(幼稚園)です。

DFPコーディネーター:学校は楽しいですか?
デイビッド君:楽しいです。

DFPコーディネーター:お父さんとお母さんと一緒に暮らしているのですか?
デイビッド君:いいえ。僕はおばあちゃんと住んでいます。パパとママのことは分かりません。

DFPコーディネーター:大きくなったら何になりたいですか?
デイビッド君:看護師になりたいです。

ダーリングさんへのインタビュー

DFPコーディネーター:どこのクラスですか?
ダーリングさん:ABCクラス(幼稚園)です。

DFPコーディネーター:いくつですか?
ダーリングさん:13歳です。

ダーリングさん
ダーリングさん

DFPコーディネーター:これまでに学校に通ったことはありますか?
ダーリングさん:いいえ。この学校が初めてです。

DFPコーディネーター:どうして学校に通うことが出来なかったのですか?
ダーリングさん:両親と一緒に村で暮らしていて、両親は私を学校に通わせてくれませんでした。でも、叔父さんがモンロビアに私を連れて行って、牧師のベイアンさんに学校に通えるように頼んでくれたのです。

DFPコーディネーター:学校は楽しいですか。
ダーリングさん:はい。この学校が大好きで、毎日ここにいたいです。

DFPコーディネーター:兄弟はいますか。
ダーリングさん:はい。だけど兄弟は父と母と一緒に村にいます。

DFPコーディネーター:大きくなったらどんな仕事がしたいですか。
ダーリングさん:私は医者になりたいです。

DFPコーディネーター:どうもありがとう。
ダーリングさん:こちらこそ、お越しいただき、ありがとうございました。

インタビューを終えて、DFPコーディネーターからのコメント

モーニングスター・キリスト教学校は、リベリアの首都モンロビア近郊、モンセラード州ペインスヴィルのG.S.Aロードにある「セシンと娘たち」という名前のレストランの裏にあります。校舎は2棟。ひとつは教会になっていて現在は工事中です。もうひとつは、簡易な建物です。ともにG.S.Aロード教会に属する建物です。簡易な建物は、以前は教会のお祈りに利用していました。

教室の様子
教室の様子

建物の中はいくつかの教室に分けられ、黒板も設置されています。簡易な建物には4つの教室があり、第4~7学年の生徒たちが使用しています。教会となっている棟は幼稚園から第3学年までの教室になっています。小さな建物で、天井は遮熱性が低く、晴れた日は屋根の熱が伝わってきて暑くなります。窓もほとんどなくて換気も十分に出来ません。乾燥した季節は、教室はとても暑く、また天気の悪い日は特に教室が暗くなります。

また、どちらの校舎も、座って勉強をするのが大変な状態です。個別の席はなく、ベンチのような長細い椅子に、ぎゅうぎゅう詰めで座っています。机はなく、ノートをひざに乗せて授業を受けています。ほとんどの生徒が、全教科で一冊のノートを使っています。生徒の制服はとても傷んでいるようでした。フロモ校長の話では、3年間ずっと同じ制服と靴を使い続けている子もいるそうです。

フロモ校長は、6名の教員がいるとおっしゃっていましたが、私が行ったときにはフロモ校長のほか、2名の教員にしかお会いすることができませんでした。他の方はまだ通勤途中だったそうです。教員の方々は、校長も含め仲良く協力し合いながら、集合写真を撮るために生徒を集めていました。生徒たちは幸せそうで建物の状態などは気にならないようです。先生と写真に写り、とても嬉しそうにしていました。

DFPからのコメント

2014年度及び2015年度、当団体のエボラウイルス病緊急支援活動の一環として、首都モンロビア周辺の学校のうち、国連/国際支援団体からの衛生消毒物資配布対象から漏れている学校のうち9校に、体温計や手洗い用石けん等を配布の上、手洗い方法の指導を行いました。その後、適切に配布物資が使用されているか、手洗いが実施されているかを確認するモニタリングを行いました。

今回インタビューしたモーニングスター・キリスト教学校は、DFPが支援した9校のうち、最もきちんと物資を管理し、生徒たちに手洗い指導をしていた学校のうちの1校です。

上の記事に記載のとおり、学校の設備や備品が不十分な中、教会や教員が力を合わせ、地域の子ども達に教育を受ける機会を提供しています。当団体のエボラウイルス病緊急支援活動は終了しますが、この学校に支援をしたい個人・団体・企業様がいらっしゃいましたら、当団体がコーディネートすることが可能です。ご興味のある方は、当団体までご連絡頂ければと思います。
(連絡先 info★diamondsforpeace.org ★を@に変えて送信ください)