それでも児童労働はなくならない:鉱山における最も悪質な児童労働 〜「紛争フリー」ラベルと自己認証による規制では不十分と、活動家らが指摘〜

【2015年5月12日配信、2015年5月18日更新 ジョセフィン・モールズ(ガーディアン)】

欧州では、携帯電話、ノートパソコン、電球、宝石などの商品によく使われる、いわゆる「紛争鉱物」についての報告を企業に義務付けた新しい規制をめぐり、論争が起こっています。

問題となっている鉱物とは、アフガニスタン、コロンビア、コンゴ民主共和国、ジンバブエなどの、紛争地域または危険度の高い地域で採掘された金、タンタル、タングステン、錫(すず)です。このような鉱物の取引による利益は武装集団の資金源となる可能性があり、また、特に子どもに対する人権侵害を助長します。コンゴ民主共和国の武装集団は、子ども兵の使用で広く非難されています。鉱物の採掘は主に小規模な採掘現場で行われ、そこでは、(しばしば子どもによる)強制労働が問題となっています。危険な労働環境であることから、鉱山での児童労働は、最も悪質な児童労働の一つに数えられています。

今月、欧州議会では、これらの鉱物取引に関わる企業に対し新たに規制を定めた法案について、話し合われる予定です。この法案は、自己認証に依存する現存の法体系を温存します。規制に遵守しなければならないのはEUの精錬業者と精製業者のみで、その他のサプライチェーンには同法案に定められた透明性に関する基準を満たす必要がありません。

報告の義務化に伴う高すぎるコスト

活動家らは、その提案は不十分であり、欧州議会は紛争地域で採取された鉱物に関する問題解決の機会を逸しているといいます。鉱物資源に関する国際基準を定めたOECD(経済協力開発機構)ガイダンスが、2010年に発表されました。NGOグローバル・ウィットネスのエミリー・ノートンは、次のようにいいます。「これは自発性に任されており、残念ながら欧州企業はこれらの国際基準を満たしていないことが調査で明らかになっています。他の規定が追加されても、現状を改善することになりません」

一方、業界内からは、報告の義務にはコストがかかり、EU商品の競争力に悪影響を及ぼしかねないという意見も上がっています。現時点での提案では、同法は欧州への原材料(原石)の輸入に対しては適用されますが、加工された製品については適用されません。クロウ・クラーク・ホワイトヒル(英国の会計事務所)のパートナー、イアン・ウィークによると、「もしあなたが中国の製造業者であれば、どこから金属を入手しようと、それが紛争フリーであると証明することを義務付けられないのです。中国の業者が、より安価な製品を作れば、欧州の製造業者は衰退します」

この課題に取り組む一つの方法は、精錬業者だけではなく、これらの鉱物取引に関わる欧州企業すべてに対し、報告義務を課すことでしょう。ノートンは、次のように言います。「そうすることにより、サプライチェーンに変化をもたらし、世界中で責任ある精錬業者からの調達を促すことができるでしょう。欧州のサプライチェーン下流から圧力をかけ、連鎖反応させていくのです」

「紛争フリー」を定めたルール、果たして、うまく機能するのか?

ノートンは、問題は「紛争フリー」というラベルに焦点が当たっていることだと言います。「この問題の本質は、リスクと調達について、企業が責任を持って取り組んでいるかどうかなのです。常に、自社のサプライチェーンが児童労働に関わっているリスクや、武装集団が道路税を課しているかもしれないリスクが、つきまとっているのです。重要なのは、企業が、そのリスクをどう対処するかなのです。企業は『これは紛争フリーで、コンゴ産ではありません』と言う代わりに、『これは、責任を持って調達されたものです。リスクが生じた際、我が社はそれに対し、責任をとります。』と言うべきです」

 

“Courtesy of Guardian News & Media Ltd”

※本記事はイギリスのメディア「Guardian」ホームページに掲載されたものをDFPにて一部を翻訳・抜粋・要約したものです。

原文「Child labour won’t stop with conflict-free labels and voluntary codes」

https://www.theguardian.com/sustainable-business/2015/may/12/child-labour-wont-stop-with-conflict-free-labels-and-voluntary-codes(2016年11月10日閲覧)

写真:シエラレオネの採掘現場で働く男の子 (出典:パブリックドメイン)

(参考文献)

「紛争鉱物に関するEUの取り組みを巡る動向」(日本貿易振興機構(ジェトロ))
URL: https://www.jetro.go.jp/ext_images/jfile/report/07001719/07001719.pdf

 「OECD 紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス(仮訳)」(外務省ホームページ)
URL: http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/csr/pdfs/oecd_ddg_jp.pdf

「米国の金融規制改革法案と、コンゴのレアメタル ハイテク企業に課せられる社会的責任」(日経ビジメスON LINE)
URL:http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20100802/215665/?rt=nocnt

 

Sharing is caring!

『NPO法人 ダイヤモンド・フォー・ピース』に、いいね!やシェアだけで支援金を届けられます。~ NPO/NGOを誰でも簡単に無料で支援できる!gooddo(グッドゥ) ~