国連専門家パネル、金やダイヤモンドが中央アフリカ共和国の紛争助長と報告

【2014年11月5日ダカール(セネガル共和国)=ダニエル・フリン(ロイター通信)】

金やダイヤモンドの売上が、中央アフリカ共和国で紛争の財源に使われています。
そのため国連平和維持軍は採掘現場を監視し、違法な取引を取り締まるべきだと、国連専門家パネルは述べています。
「国連中央アフリカ共和国ミッション(MINUSCA)は中央アフリカ北部の僻地に軍隊を配置し、無人飛行機(ドローン)による監視と、暴力行為の防止に努めるべき」。9月に始動したMINUSCAは、当初予定していた総勢1万2,000人の規模のわずか3分の2のみで活動しています。

中央アフリカが混乱に陥ったのは、2013年3月。北部を拠点としていたイスラム教徒主体の反乱軍セレカが、キリスト教徒主流の政権を打倒。これがキリスト教徒主体の反乱軍「アンチ・バラカ」による激しい反発を引き起こすことになりました。国連安保理事会が武器禁輸措置を課した2013年12月から2014年8月までに、約3,000人が殺害されたと報告されていますが、民間人の死者数は減少しているといいます。

反乱軍セレカの指導者ミシェル・ジョトディア氏は、民間人の殺害、略奪、強姦が何か月も続いた後、国際社会から圧力を受けて1月に大統領職を退き、セレカ戦闘員は中央アフリカ南部から撤退しました。以前から拠点を置く北部で、金鉱からコーヒー、家畜、ダイヤモンドまで幅広い商品に課税して、組織運営の資金源にしていると報告されています。
また彼らは中央アフリカ中部ナシマ鉱山にいる金鉱労働者に対して採掘許可を出していました。

3月以降、反政府勢力の武装解除については全く進展がなく、和平実現への望みが元セレカ勢力とアンチ・バラカ勢力の内部分裂によって複雑化しています。またカトリーヌ・サンバ=パンザ暫定大統領が武装勢力メンバーを閣僚に任命すると決定したことが争いを扇動した可能性があるといわれています。

「閣僚の座をめぐる武装勢力の争いと、資源の支配権をめぐる軍司令官の争いが、元セレカ構成員と、対立するアンチ・バラカ勢力との間にある最近の内部抗争の原因である」。これは今週になってようやく公表された報告です。

武装勢力とマハマト・アルカティム准将率いる元セレカ部隊による民間人への攻撃が続き、村を焼き尽くしたり、強制退去を求めたりしたため、アフリカ中北部の国であるチャドと中央アフリカ北部の間に緩衝地帯が設置されたことが明らかになりました。

一方専門家パネルは、国連が12月に課した武器禁輸措置への重大な違反はないとしています。

主要ダイヤモンド産出国を含む81か国が合意するキンバリープロセス制度。「血のダイヤモンド」が紛争の資金源にならないよう取り組み、2013年に中央アフリカ産のダイヤモンド原石に対して禁輸措置を課しました。

しかし、禁輸措置以降も、さらに14万カラットのダイヤモンド、金額で2,400万米ドル相当(約28億円)のダイヤモンドが中央アフリカから密輸出されたと言われています。

 

※本記事は「ロイター通信」ホームページに掲載されたものをDFPにて翻訳したものです。
原文:「Gold, diamonds fuelling conflict in Central African Republic: U.N. panel」
http://www.reuters.com/article/2014/11/05/us-centralafrica-un-panel-idUSKBN0IO21420141105

冒頭写真:燃え盛るバリケードの前に立ち、仏軍に対して抗議している男性の様子(2014年5月22日 バンバリにて)REUTERS/GORAN TOMASEVIC